嫌いな人とは距離を保つ。良好な人間関係のために意識したい3つのポイント

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「自分」を生きる

『「自分」を生きる』

著者
坂東眞理子 [著]
出版社
あさ出版
ISBN
9784866671338
発売日
2020/02/07
価格
1,430円(税込)

嫌いな人とは距離を保つ。良好な人間関係のために意識したい3つのポイント

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

~上手に生きるより潔く~「自分」を生きる』(坂東眞理子 著、あさ出版)の著者は、昭和女子大学理事長・総長。

ベストセラーとなった『女性の品格』(PHP研究所)、『70歳のたしなみ』(小学館)など、多くの著作を送り出してきたことでも知られています。

本書の冒頭で気にかけているのは、いまの日本で生きる人たちが、自信にあふれて生きているようには見えないこと。

だからこそ、一人ひとり充実した人生を送ってほしいという願いを込めて、この本を書きました。ふがいない自分と長い間付き合ってきた中で、周りの人たちに教えていただいたこと、学ばせていただいたこと、様々経験してきたことを記しています。

少しはみなさんにお役立ていただけるのではないかと思います。(「はじめに」より)

人間関係を温かいつながりにするための考え方を述べているという第2章『たしなみある人間関係を育む』のなかから、3つのポイントを抜き出してみることにしましょう。

友人を得るのは出会いの運

新聞の人生相談で「表面的な友人はいるが、心から信じ、頼ることのできる“親友”がいない」という50代女性の悩みを目にしたとき、著者はこう感じたそうです。

「私が友人だと思っている人たちも、この人の定義に従えば『表面的な友人』なのかもしれない」と。

しかし、自分のすべてを受け止めてくれて、心から信じ、頼らせてくれる関係になるのは、たとえ長く一緒に過ごしている家族であっても難しいもの。

だとすれば、それを友人に期待するのはさらに困難だということになります。

ましてや、人間関係は「双方向」であるべきです。いつでも愚痴を聞いて励ましてくれる友人がいるとしたら、自分も相手の悩みや愚痴を聞いてあげなければならないわけです。

そうでなければ良好な関係は成立せず、長続きもしないから。

すべてを受け止められるほど深く関わり合うのは、なまやさしいものではないということです。

おすすめしたいのは、「親友」を持つよりも、「素敵だな」と一緒にいて思うことができる友人がたくさんいることです。

いつも一緒にいるわけではないけれど一緒にいて楽しい、困った時にちょっと助けを求めたり相談したりできる、緩やかな関係性で結ばれた友人が10人いるほうが、深く結ばれたたった一人の親友がいるよりも人生が豊かになるのではないでしょうか。(70~71ページより)

そもそも「親友」は、探して得られるものではないはず。

しかし、素敵な人や尊敬できる人、考え方がおもしろい人との出会いは、何歳になってもあるものです。

ただし、その出会いを友だちづきあいにまで深めるには、タイミングや相手の事情も影響してくるでしょう。

つまり「友人になれるかどうか」は、運に左右される部分があるわけです。

だからこそ自分も、相手から「素敵だな」「尊敬できるな」と思われるように振る舞い、はがきやメールを出すなどして交流を深め、相手から声がかかったら時間をやりくりしたり、頼まれたことを誠実に行ったりといった積み重ねをすることが大切。

つまり、よい友人が欲しかったら、まずは自分自身がよい友人として行動するべきなのだと著者は主張しているのです。(68ページより)

嫌いな人とは適度な距離を保つ

食べ物の好き嫌いがあるように、人に対しても好き嫌いはあって当然。しかも、自分が好きになれないと感じる人のことを好きという人もいるでしょう。

まさに、蓼食う虫も好き好きだということです。

小学校では、友人みんなと仲良くしようと教わりますし、大人になってからも、どんな人にもよいところがある、人のよいところを見るようにして悪いところには目をつむりましょう、などといったアドバイスもよく聞きます。

ですが、現実的にすべての人と仲良くするのは無理です。むしろ、無理をして、出会う人すべてと仲良くする必要はありません。

だからと言って面と向かって嫌いと言ったり、否定し合ったり、ケンカしたりするのは、大人の振る舞いとは言えません。嫌いな理由を表現する必要はありません。

嫌いな人とは、できるだけ接触する機会を減らすようにするのが正解です。(77ページより)

たとえば趣味のサークルや活動団体で嫌いな人がいる場合は、無理して所属し続ける必要はなし。

とはいえ、いきなり「やめます」と宣言すれば角が立ちますから、フェードアウトしつつ、新しいサークルや活動を探せばいいわけです。

あるいは時間や気持ちに余裕があるのなら、両方続けるという選択肢も。ほかにも行き場があると思うと、気持ちに余裕が生まれもします。

いずれにしても、人生の時間は有限。なのに神経をすり減らしてまでそのグループや団体にしがみつき、嫌な気持ちを抱えながら耐え続ける必要はないということです。

人間関係や義理などもあるでしょうが、どうしても合わない人からは逃げてよいのです。(78ページより)

ただし、どこへ行っても合わない人、嫌な人はいるものです。したがって、そのことは覚えておくべきだと著者は言います。(76ページより)

苦手な人と穏やかな関係を築きたいときは

「逃げてよい」とはいうものの、職場や学校など、嫌いな人ともうまくやっていかなければならない場もあります。

もちろん、お互いに尊敬しあって、よい関係を築いていけるのであれば、それがベストでしょう。

ところが職場には必ずといっていいほど、嫌な同僚や理解してくれない上司がいるものです。

こういう時は、人間的な好き・嫌いをできるだけ持ち込まず、仕事だけに接触を限定する、余計な付き合いや交流はしないなど、ビジネスライクに付き合うのがいちばんです。(79ページより)

とはいえ、やっぱり仲よくしていきたい、せめて穏やかな関係を築きたいと願うなら、先手必勝がカギだとか。

相手より先に挨拶をする、1週間に3回は相手のよいところを見つけて面と向かってほめる、相手が困っているようなら仕事を手伝うなど、意識的に行動することが大切だというわけです。

なぜなら人は、好意を向けられるとうれしく感じるものだから。

しかし、それでも相手が自分のことをなかなか好きになってくれないという場合は、「そういう縁なのだ」と割り切り、ビジネスライクにつきあえばいいのです。(78ページより)

Photo: 印南敦史

Source: あさ出版

メディアジーン lifehacker
2020年3月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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