坊さん、ぼーっとする。 白川密成著

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坊さん、ぼーっとする。

『坊さん、ぼーっとする。』

著者
白川 密成 [著]
出版社
ミシマ社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784909394330
発売日
2020/02/20
価格
1,870円(税込)

書籍情報:openBD

坊さん、ぼーっとする。 白川密成著

[レビュアー] 南沢奈央(女優)

 坊さん、インターネットをやりすぎている。

 主語が「坊さん」になった途端に、「非日常かつ奇抜な感じ」になる。でも同時に、親近感が湧く。SNSでの自分の行動や発言に対する「反応」を追いかけてしまう。愛媛県・栄福寺の住職である著者は、その一人なのだと言う。

 本書は、お坊さんとして、二児の父として、現代人として、日常を綴(つづ)った随筆集。各項の最後には「まとめ」的に、密教経典『理趣経』を一節取り上げて紐解(ひもと)いているので、日常と結び付けて仏教の教えや考えに触れることができる。

 <日々に読誦(どくじゅ)し作意(さい)し思惟(しゆい)せば(日々に読み上げ、心をめぐらせ、深くその意味を考えるならば)>

 経典との付き合い方について書かれた一節。一過性のネット上の情報、他人の反応に気を取られていると、失うものがあるのだと我に返る。そして今必要なのは、「ぼーっとした待つ時間」。

 日々の気付きの中から、「生きる上で大切な感覚」をしっかり掬(すく)い取る一冊。読み終え、ぼーっとしてみたら、少し上を向いていた。桜の蕾(つぼみ)がほころび、春の日差しが暖かい。 (ミシマ社、1700円)

読売新聞
2020年3月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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