【気になる!】文庫 『志に死す 人情時代小説傑作選』

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【気になる!】文庫 『志に死す 人情時代小説傑作選』

[レビュアー] 産経新聞社

 時代小説で「男の覚悟は〈死〉と対峙(たいじ)する時に、女のそれは〈生〉を貫くときに決まる」と説く文芸評論家が編んだアンソロジー。

 夫婦のささやかな日常を奪った者への意地(藤沢周平「木綿触れ」)、盗賊稼業で先代から継いだ教え(池波正太郎「看板」)、家族に裏切られ、島送りになった男が故郷に残したもの(笹沢左保「生国は地獄にござんす」)…。心に決めた守るべきもののために命をかける男たちを描く。さらに菊池寛「敵討順逆かまわず」、山本周五郎「城中の霜」の全5編。

 さすがのラインアップ。いずれもしびれる。(縄田一男編、新潮文庫・520円+税)

産経新聞
2020年4月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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