母親業とは、何とも難しい。勉強や仕事よりもよほど大変な、命の責任を引き受けさせられる。もちろん多くの人は、わが子を慈しみ育てているが、なかにはさまざまな要因から本当に子供を育てられない母親もいる。本書では、彼女らを取り巻く実態を克明にあぶりだしている。
著者は、彼女らが子供を育てられない要因については単純なものではなく、性的虐待被害や父親不在、精神疾患、貧困などが複雑に絡んでいると指摘する。渦中にいる母子を守るには、彼女らが抱える事情を想像し、先手を打つことが必要なのだと気づかされた。(石井光太著、祥伝社新書・960円+税)
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2020年4月5日 掲載
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