すべての悩みは対人関係。アドラーに学ぶ、人生で取り組むべき3つの課題

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人間関係の悩みを消す アドラーの言葉

『人間関係の悩みを消す アドラーの言葉』

著者
桑原晃弥 [著]/リベラル社 [編]/田渕正敏 [イラスト]
出版社
星雲社
ISBN
9784434271663
発売日
2020/02/27
価格
1,100円(税込)

書籍情報:openBD

すべての悩みは対人関係。アドラーに学ぶ、人生で取り組むべき3つの課題

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

ご存知のとおり、アルフレッド・アドラー(1870~1937)は、オーストリア出身の精神科医であり心理学者。フロイト、ユングと並び、現代心理学の礎を築いた人物です。

フロイトやユングにくらべると語られる機会は多くありませんでしたが、関連書籍が多く出版されている近年は、広く支持されるようになりました。

その理由について、『人間関係の悩みを消す アドラーの言葉』(桑原晃弥 著、リベラル社)の著者は次のように述べています。

それはアドラーの提唱していたことがまさに今という時代を生きる人に「生きる力」を与えてくれるからではないでしょうか。アドラーは原因論ではなく、目的論をとることで、人の生き方は遺伝や過去の出来事によって縛られるのではなく、自らが選択した目的に向かって自ら切り開いていくものと考えています。

そして人生の課題は「仕事」「交友」「愛」の3つであり、すべては対人関係上の課題であり、これらの課題に勇気を持って取り組むことで人は成長できるとも考えています。

人は社会的生き物であり、人と人とが協力し、お互いに足りないものを補い合うことで人は自分の限界を超えていくことも可能になります。(「はじめに 人は努力と訓練によって何者にでもなることができる」より)

人間の可能性を強く信じていたアドラーは、「人は努力と訓練によって何者にでもなることができる」と考えていました。

「貧困の連鎖」など、可能性を諦めざるを得ないことの多い現代においては、運命を呪いたくもなってしまいがち。

しかし、だからこそアドラーの楽観主義を信じることに意味があるのではないかと著者は主張しています。

そのような考え方に基づいて「アドラーの言葉」を厳選した本書のなかから、第三章「人生で取り組むべき『三つの課題』に焦点を当ててみたいと思います。

仕事・交友・愛の課題がある

すべての悩みは、対人関係の課題である。

    ▼『勇気はいかに回復されるのか』『人生の意味の心理学』

アドラーによれば、人生には取り組まなければならない課題が3つあるのだそうです。

1つは「仕事の課題」。社会の一員として生きるための仕事を、いかに見つけるかということです。

2つ目は、「交友の課題」。仲間のなかでいかに自分の居場所を見つけるかということ。

そして3つ目は「愛の課題」。いうまでもなく、男女のつきあいや結婚などの課題です。

つまり、「結局のところ、われわれには対人関係以外の問題はないように見える」とアドラーが指摘しているように、人生の課題はすべて「人と人との結びつき」に関するものだということ。

アドラーは人と人との結びつきを「共同体感覚」と読んでいるそうですが、そこで必要なのは、他の人のことを「敵」ではなく「仲間」とみなすこと。

そうであってこそ、人と人とは協力することができるという考え方なのです。

とはいっても、いつも理想どおりにいくとは限らないのが対人関係。仲間だと思っていた相手から裏切られることもあれば、愛し合って結婚したふたりの関係がすれ違うこともあるわけです。

そんなことからもわかるように、対人関係は困難なもの。

そのため人生においては、人とどう関わり、人とどうつきあうかが最も大きく難しい課題だということです。

たしかにそうした現実を受け入れることができれば、「では、どうすべきなんか?」と考えることができそうです。(62ページより)

責任追求より原因追及を

怒りの感情は人と人とを引き離す感情である。

    ▼『勇気はいかに回復されるのか』

たとえば誰かが失敗したとき、怒りに任せて叱りつける人がいるものです。

しかし「怒りの感情は人と人とを引き離す感情である」とアドラーが指摘しているように、そのような行為が建設的ななにかをもたらすことはなく、むしろ人と人との距離を遠ざけるだけ。

なぜなら、怒られることが好きな人はいないからです。

たとえば会社に当てはめるとしたら、いつも機嫌が悪く、すぐに怒る上司のところに部下は寄りつかなくなるはず。

その結果、周囲の人々は上司の顔色を伺うようになり、部下に都合の悪い情報は入らなくなってしまうわけです。

だからこそ、もし部下に対して適切な援助をしたいなら、両者の関係を遠ざけるのではなく、近づけることが必要

なにか間違いをした場合、その人は「自分が間違ったことをした」ということはわかっているもの。しかし、「じゃあ、どうすればいいのか」についてはわかっていないことが多いのだといいます。

したがって、そんなときには叱るのではなく、「間違いをしたら次はどうすればいいのか」を考えることがなにより重要

日本のものづくりの現場に伝わる「失敗したら責任追求よりも原因追及を」という考え方が、とても大切だということです。(64ページより)

人はみな対等であり仲間である

一緒に仲良く暮らしたいのであれば、互いを対等の人格として扱わなければならない。

       ▼『人生を生き抜く心理学』

人は対等である」というのが、アドラーの基本的な考え方。

親と子も、教師と生徒も、社会における上司と部下も「対等」でなければならないということです。

もちろん、職分の差や役職による上下関係はあって当然です。

しかし、そこに「人は対等である」という考え方があれば、体罰を加えるとか怒るとか、暴力をふるう、いじめるなどの行為はできないわけです。

事実、怒ったり叱ったり、いじめたり、パワーハラスメントをすることで良好な関係を築くことはできません。それは関係を悪化させ、相手の恨みを買ったり、相手を精神的に追い詰めるだけ。

教師も、子どもたちを対等の人間と見て尊重し、信頼して接すれば、力に訴えなくても充分に教え導くことが可能。

部下指導においても、最近は「人間としての部下に関心を持て」と教えられるものです。

そんなところからもわかるとおり、人間は対等であり、仲間であるとアドラーは教えてくれるのです。(66ページより)

1テーマ=1見開きで、どこからでも読める構成。デスクサイドに置いておいたり、バッグのなかに入れておけば、気づきを得る機会は増えそうです。

生きづらい時代だからこそ、本書を通じて自分の可能性を信じるようになりたいものです。

Photo: 印南敦史

Source: リベラル社

メディアジーン lifehacker
2020年4月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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