男気あふれるハードボイルドや歴史小説で知られる人気作家の珠玉の言葉が味わえるエッセー集。
創作の血肉となった映画や音楽を回想し、作家の立松和平らと過ごした濃密な時間を述懐する。16年続けた青年誌の人生相談コーナーでの裏話をユーモア交じりにつづったかと思えば、最新の大河小説「チンギス紀」の連載に先立って訪れたモンゴルの印象深い風景を記す。
<人に対する、大地に対する祈りがあってこそ、物語が書けるのだ>。一行書くたびに、これでいいのか、と自問を重ねる。小説を書く孤独と喜びが行間から伝わってくる。(新潮社・1700円+税)
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2020年4月12日 掲載
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