リモートワークでも。1日1時間の「モーニングルーティン」で優先順位を決める

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リモートワークでも。1日1時間の「モーニングルーティン」で優先順位を決める

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「朝1時間」ですべてが変わる モーニングルーティン』(池田千恵 著、日本実業出版社)の著者は、「朝イチ業務改革コンサルタント」。

聞き慣れない名称ですが、企業に向けては社員の働き方改革や仕事の業務改善について指導を行い、個人に向けては“今後の方向性”についての迷いから抜け出すための手助けをしているのだそうです。

加えて早起き習慣を26年続け、「朝活」研究を11年続けてきたのだとか。

その中で「時間が足りない」という悩みと「キャリア、将来が見えない」という悩みは、朝時間、もっといえば1日の始まりの1時間の使い方だけで解決できると知りました。

しかし、多くの方は「早起き」が苦手で、朝1時間の準備ができません。

そこで本書では①どうすれば早起きができるようになるか、②早起きしてできた時間で何をすればいいかについて具体的手法を紹介いたします。(「はじめに 朝の優先順位づけが人生を制すーー朝、いちばん大切なことから始めよう」より)

ちなみにタイトルにもなっている「モーニングルーティン」とは、毎朝の決まった行動習慣のことだといいます。

一般的に「ルーティン」は慣れ親しんだパターンであるため、“変えないもの”と思われがちかもしれません。

しかし本書では、“自分のなりたい未来”を見据え、「モーニングルーティン」を戦略的に変えていくことを提案しているというのです。

とはいえそれは、決して難しいことではなさそうです。大切なのは、日々の小さな行動の積み重ねだというのですから。

いままでとは違う結果を得たいのであれば、毎日のちょっとした行動を理想に近づけていけばいいということです。

きょうは、そのような観点に基づく本書からSection 1「いままでの『早起き』がうまくいかなかった理由」に焦点を当て、基本的な部分を確認してみたいと思います。

「1時間」のモーニングルーティンで優先順位を明確にする

「優先順位をつけよう」ということばを耳にする機会は少なくありませんが、それはどこか曖昧なものでもあります。

なぜなら、「優先順位」は状況によって日々刻々と変わるものだから。

しかも慌ただしい毎日を送っていると、“差し迫った”ことの処理が最も大切だと勘違いしてしまいがちでもあります。

しかし実際のところ、時間を有効に活用できるかどうかは、「優先度大」事項をすぐに片づけられる状態まで準備できるかにかかっているのだそうです。

「優先度大」事項とは、緊急でないけれど、いまのうちにやっておかないと、あとから大変なことになるようなこと。

なお優先順位をつける際、「直感」に頼るのは危険だと著者は主張しています。なぜなら、人はいままで慣れ親しんだ判断をつい優先してしまうから

ここでいったん考えてみてください。 あなたがいま、早起きして成し遂げたいことは、いままでの延長線上にあるものでしょうか?

いまの自分からバージョンアップしたいから早起きして時間を作りたいわけですよね?

あなたの「なんとなく」の直感は本当にあなたをいい方向に連れていってくれますか? 違う道を行きたいのなら、違う流れを作らなければいけません。(28ページより)

そのための方法が、重要度と緊急度によって1日のタスクを仕分けられる「モーニングルーティン」だということです。(27ページより)

ちなみに「朝1時間」とすることのメリットは、次の6つだそうです。

1. 普段の生活習慣を少し変えるだけなので取りかかりやすい

2. 行動までのタイムラグが少ない

3. 脳が飽きていないので作業を早く進めることができる

4. 終了時間が決まっているのでダラダラしない

5. 小さな達成感を感じることができ、メリハリある生活ができる

6. 邪魔が入らないので一気に集中できる

(29ページより)

「朝1時間」で未来の自分に種をまく

本書で紹介されているモーニングルーティンは、30分で1日の仕事を段取り、30分で“緊急ではないけれど重要な「種まき」案件”を見極め、進めていくというもの。

このことについて著者は、ひとつの指摘をしています。多くの人が、大切だとわかっているのについ、「種まき」をおろそかにしてしまうのだと。

大事だとわかってはいるけれど、どこから手をつけたらいいのかわからないし、考えるのが面倒なものだから、ついそうしてしまうということ。

たとえばキャリアアップや自分磨きのための勉強など、やりたい「種まき」はどんな人にもあるものです。

ところが、仕事をしている間などには「今度はこれをやろう」とやる気になっているのに、休日になったり自分の時間が取れたりすると、ついダラダラしてやる気を失ってしまったりもします

著者によればそれは、「種まき」を具体的なタスクとして“すぐできる状態”にしておかないから

しかし、「まだ先だから」「まずは救急のものを片づけてから」とあとまわしににすると、いずれツケが返ってくることになります。

日常においては目の前の仕事に追いかけられてしまうため、「それが終わったら、やりたい『種まき』をやろう」と思い続けていても、結局はいつまでも取りかかれないわけです。

だからこそ大切なのは、緊急ではないけれど人生において重要な「種まき」部分をすぐ取りかかれる状態に持っていく「タスク化」の技術を身につけること

仕事もプライベートも含めたすべての「種まき」を、まるごと朝1時間でタスク化することが大切だという考え方です。

日中は、あっという間に時間が過ぎてしまいます。ひとつひとつのタスクの優先度を見極め、朝のうちに仕分けできれば、自分が人生において何を一番大切だと思っているか、そのために何をすべきか(=種まき)が明らかになります。(38ページより)

なお、自分にとっての種まきがなんなのかを見極めるためには、「とりあえず」「念のため」となんとなくやり過ごしていることを、「本当に必要なのかな?」という視点で、優先順位をつけて見つめなおすといいそうです。

そうすれば、惰性でしていた仕事のどれをカットして生産性を上げるべきなのかが見えるようになってくるというのです。(36ページより)

こうした考え方をベースとして、以後はモーニングルーティンの活用法が具体的に解説されていきます。それらのメソッドを取り入れてみれば、未来をよりよいものにできるかもしれません。

Photo: 印南敦史

Source: 日本実業出版社

メディアジーン lifehacker
2020年4月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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