段落論 日本語の「わかりやすさ」の決め手 石黒圭著

レビュー

4
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段落論

『段落論』

著者
石黒圭 [著]
出版社
光文社
ジャンル
語学/日本語
ISBN
9784334044619
発売日
2020/02/19
価格
902円(税込)

書籍情報:openBD

段落論 日本語の「わかりやすさ」の決め手 石黒圭著

[レビュアー] 飯間浩明(国語辞典編纂者)

 段落の分け方にはこだわりがあります。以前、ある編集部に原稿を渡した後、送られてきた校正刷りを見ると、改行位置が勝手に変えられていました。デザインの都合らしい。さすがに、やんわり抗議しました。書き手としては、論理関係を示すため、一番いい場所で段落を分けようと苦心しているつもりです。

 本書によれば、最近の文章には2種類の段落があるそうです。論理性重視の大きな段落と、読みやすさ重視の小さな段落。とりわけ、スマホの文章などは、飽きっぽい読み手をつなぎ止めるため、後者が追求されるといいます。デザインの都合で段落を変えるのも、読み(見)やすさ重視の発想かもしれません。

 とはいえ、段落の本来の仕事は、論理を示すことであるのは確か。本書の著者は、誰が見ても明確に文章が切れる「必須段落」と、切れるかどうか見方の分かれる「自由段落」を区別します。必須段落は論理を示すので、当然そこで改行すべきものです。一方、いわば気分で改行する自由段落は、論理を曖昧にするおそれがあると、個人的には思います。取り扱い注意の段落と言えるでしょう。

 段落の分け方もさることながら、ひとつの段落をまとめるのにも苦心します。英語の段落では、冒頭にトピック・センテンス(小主題文)を置き、それに文を続けて段落をまとめます。それが理想だと思いつつ、自分自身が書くときは、必ずしもその形になりません。

 著者によれば、日本語の段落には、内容を端的にまとめた「中心文」があり、それは冒頭に置かれるとは限らないそうです。段落のどこかに中心文があればいいということなら、少しほっとしますね。

 ただ、その中心文すら見出(みいだ)せない段落もあることを、著者は認めます。この書評にもそういう段落があります。日本語では、言いたい一言を段落全体に薄く伸ばすことも多いのではないでしょうか。この点、著者に伺ってみたいところです。

 ◇いしぐろ・けい=1969年、大阪府生まれ。国立国語研究所教授。著書に『文章は接続詞で決まる』など。

読売新聞
2020年4月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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