『基点としての戦後』
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『基点としての戦後 政治思想史と現代』苅部直著
[レビュアー] 産経新聞社
日本古来の天皇のあり方と、「国民統合の象徴」という日本国憲法の位置づけはよく合致している。そう説いた倫理学者の和辻哲郎の思想を、彼の講義を受けた上皇陛下はどう発展させたのか−。
現代日本の思想状況を考えるには、戦後70余年の思想史をたどるよりほかはない。憲法、天皇、国連中心主義、「右傾化」…。現在に直結する問題について、丸山眞男や高坂正堯ら戦後知識人の思索を参照しながら、精緻で鋭い読みがたおやかな文章で展開される。 日本政治思想史の第一人者として知られる著者の、ここ10年ほどの文章を集めた待望の論集。(千倉書房・3200円+税)