メールは時間泥棒! テレワークで最大限の成果を上げる方法とは?

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ビジネスチャット時短革命 ―メールは時間泥棒―

『ビジネスチャット時短革命 ―メールは時間泥棒―』

著者
越川慎司 [著]
出版社
インプレス
ISBN
9784295008422
発売日
2020/03/16
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

メールは時間泥棒! テレワークで最大限の成果を上げる方法とは?

[レビュアー] 澤田真一(ノンフィクション作家)

新型コロナウイルスの世界的拡散は、ひとつの副産物を生んだ。
それは「テレワークの確立」である。
テレワークという単語自体は、1970年代から存在した。しかし当時は技術的な限界があり、オフィスでやっている仕事をそのまま自宅で……ということは不可能だった。しかし、現代にはインターネットというものがある。これを使えば、超満員の通勤電車に乗らずともオフィスと同質の仕事ができるはずだ。
が、実際はそこまで単純な話でもない。筆者がこの記事を書いている今においても、テレワークに移行できない会社は数多く存在する。端的に言えば、その会社が日頃からビジネスチャットを使いこなしているか否かでテレワーク実施の難易度も大きく変わってしまう。
今回は『ビジネスチャット時短革命 メールは時間泥棒 メールを48.6%も減らす働き方』(越川慎司著/インプレス刊)から、効率的な仕事の方法を学んでいこう。

メールが時間を奪っていく


本書の表紙の帯

さて、今回取り上げるこの本は、表紙からなかなかインパクトがある。
カバーと一体型の帯に「メールは時間泥棒」と書かれている。これについては、筆者澤田真一は諸手を挙げて賛成する。電子メールは現代のテレワークに必ずしも適合したツールではない、ということは日頃感じているからだ。
この本の著者越川慎司氏は、冒頭からこう書いている。

 ***

時間あたりの生産性を考えるならば、成果を生まない非効率な社内メールはやめるべきだというのが私の考えです。世の中の変化が激しい中で、人の消費行動やテクノロジー、法制度が変わりゆく中で、20年以上同じメールという手段に依存しつづけるのは、変化に対応できないリスクがあります。(『ビジネスチャット時短革命 メールは時間泥棒 メールを48.6%も減らす働き方』より引用)

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本書8~9ページより引用

20年前、筆者は高校生だった。この時代のPCのOSはWindows98が主流だったはずだ。携帯電話で電子メールを受信できるようになったのも、確かこの頃だったと思う。
一方で、チャットと言えばどうしても「出会い系サイト」というイメージが強かった。条件の合致する男女が、後日会うためにチャットで連絡し合うという流れである。そういうものがあったから、誰も「チャットを仕事に活用しよう」などとは考えていなかった。
それが、ここ1、2年の間でコペルニクス的大転換が発生したのだ。プライベートツールだったチャットが、セキュリティー性を付加された上でビジネスに活用されるようになった。これをどんでん返しと言わずに、どう表現するべきか。

会議の質が向上!

越川氏は「ビジネスチャットが社内メールと会議を減らす」と断言する。
日本の会社は無駄な会議が多い、とはかなり以前から言われている。にもかかわらず、会議が減ることはない。なぜかといえば、社員間の意思疎通のための会議や「会議の準備をするための会議」が行われるからだ。
そこで、情報共有のためのビジネスチャットを導入する。すると明確な目的を持たない内容の会議が減り、一方でアイデアを出す目的の会議が増えたという。


本書22ページより引用

 ***

その一方で、アイデア出しは対面で行うほうが効率的であることがわかり、ブレーンストーミングの時間は少し増えました。2か月にわたるこの調査で、行動実験に参加したメンバーの情報共有会議時間は前年同月比で48%も減り、全体の会議時間はマイナス26%となりました。(『ビジネスチャット時短革命 メールは時間泥棒 メールを48.6%も減らす働き方』より引用)

 ***

つまり、会議そのものの質が向上したということだ。本当に取り組むべき議題に集中するようになり、結果として仕事全体が効率化した。

現代人とテクノロジー

一口にビジネスチャットと言っても、そのプラットフォームは様々。Slack、Chatwork、LINE WORKS等々。果たして、我が社に相応しいプラットフォームはどれか? そのような疑問も浮かんでくるはずだ。
そこで越川氏は、著書の中で各サービスの対比表を載せている。これが非常に見やすくできているので、この記事でぜひ紹介したい。


本書31ページより引用

ただし、注意点がある。

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ひと昔前のように「機能が豊富だから」といった理由でツールを選ぶのはナンセンスです。現代は「モノ消費時代」ではないので、「機能が多い=良いツール」ではありません。ビジネスチャットで何をやりたいのか、どういう業務課題を解決したいのかをよく考えて選ぶべきです。(『ビジネスチャット時短革命 メールは時間泥棒 メールを48.6%も減らす働き方』より引用)

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この本から伝わってくるのは、ある種の危機感である。時代は明らかに変わっているのに、実際にはそれに移行していない会社が数多く存在するという危機感である。越川氏は、

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テクノロジーが働き方を変えることはありません。人が働き方を変える時にテクノロジーが役立つのです。(『ビジネスチャット時短革命 メールは時間泥棒 メールを48.6%も減らす働き方』より引用)

 ***

と明言しているが、まさにその通りである。Windows10をインストールしたノートPCにスマートフォン、そしてWi-Fi環境が備わっていたとしても、人間がそれを工夫して使わなければ物事は変わらない。
そこへ新型コロナウイルスがやって来た。
現代人は、その英知を試されているのだ。

インプレス
2020年5月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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