著者が、これまで折々の作品で登場させてきた、シングルマザー刑事、啓子と、中学生の一人娘、菜月を全編主人公にした短編集。
啓子は刑事だった夫の亡き後、菜月と2人暮らし。仕事に追われながら、将来、新聞記者を目指して張り切る菜月を応援している。
その菜月がかつて通っていたピアノ教室で生徒が急死する。不慮の事故と思われたが…。菜月のある行動をきっかけに真相が明らかになる表題作など全5編を収録。
さすが「短編の名手」。いずれもコンパクトな物語だが、母娘それぞれの読みと行動がさえ、仕掛けも堪能できる。(双葉社・1400円+税)
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2020年5月10日 掲載
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