『松岡洋右と日米開戦』
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『松岡洋右と日米開戦 大衆政治家の功と罪』服部聡著
[レビュアー] 産経新聞社
国際連盟脱退時の演説や日独伊三国同盟推進などで、日本を破滅へ導いた立役者として悪評高い松岡洋右(1880〜1946年)。力関係を基にしたシビアな国際政治の見通しで日米戦争の回避を図った松岡外交は、なぜ逆に日米開戦という結末に至ったのか。
外交官から大衆政治家に転じ、南進論が沸き立つ中で外相となった松岡は、彼なりの合理性で一時は成果も得たが、軍主導の複雑な内政上の要求と、激変する国際環境に即応する外交を整合させようとして破綻した。グローバリズムが行き詰まり各国で自国第一主義が復活した現代への示唆も多い。(吉川弘文館・1700円+税)