高校生と考える日本の論点2020-30 桐光学園中学校・高等学校編 左右社/日本の最終講義 鈴木大拙、宇野弘蔵他著 KADOKAWA

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高校生と考える日本の論点 2020-30

『高校生と考える日本の論点 2020-30』

著者
出口治明 [著]/沢木耕太郎 [著]/会田誠 [著]/青栁貴史 [著]/赤坂真理 [著]/入江昭 [著]/温又柔 [著]/菅野聡美 [著]/岸政彦 [著]/郡司ペギオ幸夫 [著]/島内景二 [著]/鈴木一誌 [著]/巽孝之 [著]/夏井いつき [著]/西田亮介 [著]/沼野恭子 [著]/藤谷治 [著]/本郷和人 [著]/水無田気流 [著]/吉川浩満 [著]/渡辺一史 [著]
出版社
左右社
ISBN
9784865282719
発売日
2020/04/06
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

日本の最終講義

『日本の最終講義』

著者
鈴木 大拙 [著]/宇野 弘蔵 [著]/大塚 久雄 [著]/桑原 武夫 [著]/貝塚 茂樹 [著]/清水 幾太郎 [著]/遠山 啓 [著]/中村 元 [著]/芦原 義信 [著]/土居 健郎 [著]/家永 三郎 [著]/鶴見 和子 [著]/猪木 正道 [著]/河合 隼雄 [著]/梅棹 忠夫 [著]/多田 富雄 [著]/江藤 淳 [著]/網野 善彦 [著]/木田 元 [著]/加藤 周一 [著]/中嶋 嶺雄 [著]/阿部 謹也 [著]/日野原 重明 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784044005566
発売日
2020/03/27
価格
4,950円(税込)

書籍情報:openBD

高校生と考える日本の論点2020-30 桐光学園中学校・高等学校編 左右社/日本の最終講義 鈴木大拙、宇野弘蔵他著 KADOKAWA

[レビュアー] 稲野和利(ふるさと財団理事長)

 学問の「入り口」と「集大成」ともいうべき二つの講義録集を併せ読んでみた。

 『高校生と考える日本の論点』は、桐光学園中学・高校の在校生を対象とし、「何をどう学ぶか」という生徒主体の視点から企画された、外部有識者によるオムニバス形式の講義を収録する。沢木耕太郎、水無田気流、会田誠、本郷和人、夏井いつきら21人による講義は、旅、仕事、政治、歴史、文学、美術など内容が多岐に亘(わた)り、読んでいて純粋に面白い。大学の教養課程(今は減ったと聞くが)の基礎演習を思わせる雰囲気がある。知的探求の道への入り口だ。中高生に限らず、大学生・社会人でも、読後に目の前の世界が広がった感覚を味わうことができるだろう。各講師が振り返る「わたしの思い出の授業、思い出の先生」というコラムが目を引く。いい先生との巡り合いは、その後の人生に大きな影響を与えるということを実感する。

 多くの前途有為の若者にかつて大きな影響を与えたであろう「知の巨人たち」の最終講義を収録したのが『日本の最終講義』である。序文や解説はなく、鈴木大拙、桑原武夫、清水幾太郎、遠山啓、梅棹忠夫、多田富雄、江藤淳、阿部謹也ら23人の講義録が並ぶのは、ひたすら読めということだろう。マルクス経済学から免疫学まで分野は実に幅広い。ひたすら読むと、知の巨人たちの言葉からは、学問に臨むある種共通の姿勢を感じ取ることができる。それは、理論万能視や知性偏重への警戒、因果的に考え過ぎることへの危惧といったような「知的畏れ多さ」ともいうべきものである。知の巨人たちは謙虚なのだ。専門性の要請から発する学問体系の細分化やたこつぼ現象の問題を多くの人が指摘しているのも、今日的状況を考え合わせると特に印象的であった。自分が選んだ学問をこよなく愛していることが強く伝わってくるのは最終講義ゆえの特徴か。道を究めるというのは素晴らしいことなのだとあらためて感じた。

読売新聞
2020年5月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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