ある事件で弁護士資格を失った美貌の上水流(かみづる)涼子が東大卒の貴山伸彦を助手に探偵事務所を運営、依頼人からの表ざたにできない問題を解決していく痛快作。
バブル期に築いた財で悠々自適の暮らしながら、金遣いが荒くなった妻に疑念を持つ夫(表題作)、未来が予知できるという男に経営判断を委ねる二代目社長(「確率的にあり得ない」)、かつて涼子を陥れた人物(「心情的にあり得ない」)らをめぐる事件を描く5編を収録。
鮮やかな仕掛け、涼子と貴山のキャラも魅力的で、早く次が読みたくなる。(柚月裕子著、講談社文庫・700円+税)
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2020年5月24日 掲載
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