書評の星座 吉田豪の格闘技本メッタ斬り2005―2019 吉田豪著

レビュー

8
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書評の星座 吉田豪の格闘技本メッタ斬り 2005-2019

『書評の星座 吉田豪の格闘技本メッタ斬り 2005-2019』

著者
吉田 豪 [著]
出版社
ホーム社
ジャンル
芸術・生活/体育・スポーツ
ISBN
9784834253368
発売日
2020/02/26
価格
2,970円(税込)

書籍情報:openBD

書評の星座 吉田豪の格闘技本メッタ斬り2005―2019 吉田豪著

[レビュアー] 鈴木洋仁(社会学者・東洋大研究助手)

 「プロインタビュアー」・「プロ書評家」の初の書評集は、500頁(ページ)近い分厚さと、情報量の濃さで圧倒する。

 格闘技関連本を評する連載15年分をまとめたので、その世界の表も裏も深くわかる。

 須藤元気の本は何冊出るんだ、とか、桜庭和志の歩みに時の流れを感じる、といった業界の目線でも楽しめる。

 しかし、この本は、評することの真髄(しんずい)を説くから凄(すご)い。

 著者は、格闘技を見るより“やらない側”との立場から自由な発言を続け、トラブルに見舞われる。空気をあえて読まない覚悟にしびれる。

 プロレスは、「茶番」でも「八百長」でもなく、もっとややこしい特殊なジャンル、とする思想は、愛の賜物(たまもの)だ。

 本の魅力を伝え、読者に役立つために「書評とは名ばかりの引用書評」を自称する。プロの仕事をしない人間への評価はとてつもなく厳しい。

 K―1創業者の脱税事件すら面白がるような独特の軽妙な文体は、幻の空手家の謎本をも、すぐに読みたくさせる。

 著者はタレント本蒐集(しゅうしゅう)家としても名高い。書評は戦い、という姿勢を貫く続編の出版を、みんな待ってますよ! (集英社、2700円)

読売新聞
2020年5月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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