『日本の偉人物語(5)中江藤樹 高杉晋作 明治天皇』岡田幹彦著
[レビュアー] 産経新聞社
日本の偉人を3人ずつ紹介するシリーズの第5弾。
「江戸期最高の道徳的偉人」と著者が評する儒学者・中江藤樹は、人としての正しい道を村人に説き続けた。その教えを受けた馬子(まご)(馬で人や荷を運ぶ人)は、武士の忘れ物の大金を往復30キロ以上かけて届けるが「当然のことをしたまで」と謝礼を受け取らない。今も胸を打つこうした佳話が、この本にはちりばめられている。
他に、身命を賭(と)して維新の礎となった高杉晋作、国民とともに道義国家を築こうとされた明治天皇も取り上げる。後世の我々が範としたい生き方が示されている。(光明思想社・1296円+税)