『ぼくは犬や』
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【児童書】『ぼくは犬や』ペク・ヒナ作、長谷川義史訳
[レビュアー] 中島高幸
■粘土の造形で躍動感
スーパーの片隅で生まれた犬のグスリが主人公。しばらくしてドンドンという男の子の家にやってきた。遠吠えしたり、散歩したり、一緒におやつを食べたり…。グスリとドンドンら家族の日常が描かれている。
登場するキャラクターはすべて、粘土で作られている。粘土を成形して焼き上げ、一体一体着色されている。シーンに合わせて作った人形は今作だけで70体以上にのぼり、同じ表情はないという。
韓国の絵本作家、ペク・ヒナさんが人形制作から背景セットづくり、撮影までを一人でこなしている。ペクさんは絵本界のノーベル賞とされる「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を3月に受賞した。
さらに翻訳は、大阪出身の絵本作家、長谷川義史さんが担当。「もう 6さいやのに すぐ こけよる。 しゃあないなあ ほんまにもう」。グスリの気持ちを表現するユーモラスな関西弁や、粘土の造形が生み出す躍動感あふれる作風が、子供だけでなく、大人の目をもくぎ付けにさせる。(ブロンズ新社・1400円+税)
中島高幸