【児童書】『ぼくは犬や』ペク・ヒナ作、長谷川義史訳

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

ぼくは犬や

『ぼくは犬や』

著者
ペク・ヒナ [著]/長谷川義史 [訳]
出版社
ブロンズ新社
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784893096739
発売日
2020/04/16
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【児童書】『ぼくは犬や』ペク・ヒナ作、長谷川義史訳

[レビュアー] 中島高幸

■粘土の造形で躍動感

 スーパーの片隅で生まれた犬のグスリが主人公。しばらくしてドンドンという男の子の家にやってきた。遠吠えしたり、散歩したり、一緒におやつを食べたり…。グスリとドンドンら家族の日常が描かれている。

 登場するキャラクターはすべて、粘土で作られている。粘土を成形して焼き上げ、一体一体着色されている。シーンに合わせて作った人形は今作だけで70体以上にのぼり、同じ表情はないという。

 韓国の絵本作家、ペク・ヒナさんが人形制作から背景セットづくり、撮影までを一人でこなしている。ペクさんは絵本界のノーベル賞とされる「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を3月に受賞した。

 さらに翻訳は、大阪出身の絵本作家、長谷川義史さんが担当。「もう 6さいやのに すぐ こけよる。 しゃあないなあ ほんまにもう」。グスリの気持ちを表現するユーモラスな関西弁や、粘土の造形が生み出す躍動感あふれる作風が、子供だけでなく、大人の目をもくぎ付けにさせる。(ブロンズ新社・1400円+税)

 中島高幸

産経新聞
2020年6月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク