徳川幕府の11代将軍・家斉といえば、多数の側室や50人以上の子供がいて、「オットセイ将軍」の名も浮かぶが、50年にわたり将軍の座にあり、「権威と安定」の象徴でもあった。
多数の子女や、「斉」の字などを各地の大名らに与えて「泰平の世」を支える一方、気前が良く、気さくで、臣下も仕えやすかったという人柄などから「華やかで、のびやかな権力者生活を謳歌(おうか)」したとも。
自由な気風のなか、武家も町人も羽を伸ばし、歌舞伎や浮世絵、読本などの文化も花開いた「家斉の時代」を歴史エッセイストの著者が探る。(岡崎守恭著、文春新書・850円+税)
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2020年6月7日 掲載
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