もっと試験に出る哲学 斎藤哲也著

レビュー

5
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

もっと試験に出る哲学

『もっと試験に出る哲学』

著者
斎藤 哲也 [著]
出版社
NHK出版
ジャンル
哲学・宗教・心理学/哲学
ISBN
9784140886229
発売日
2020/05/11
価格
990円(税込)

書籍情報:openBD

もっと試験に出る哲学 斎藤哲也著

[レビュアー] 瀧澤弘和(経済学者・中央大教授)

 今の時代、中高時代に勉強して以降は東洋思想に縁がないという人も多いのではないだろうか。恥ずかしながら、私自身がそうである。しかし、どこかの時点で自分たちの文化的・思想的ルーツが気になってくるはずだ。本書は、そういう人にとって再入門のきっかけを作ってくれる最適な東洋思想入門書である。

 中身は古代インド哲学から、仏教、儒教、老荘思想、日本独自の仏教、江戸期と近代以降の日本思想と盛り沢山(だくさん)だ。しかし、これだけの内容を通して読むことで得られる、新書ならではの発見がある。それは、個々の思想を点として見るのではなく、いくつかの共通テーマを巡る論争を通じてダイナミックに展開してきたものとして見ることができるからだ。

 たとえば、世界における人間存在の位置という形而上学(けいじじょうがく)的問題、自然的なものと人為的なものとの関係、人間本性と制度との関係(仁と礼)といったテーマである。

 東洋思想を内面化しつつ西洋思想と格闘し、独自の思想を築いていった近代日本の思想家たちの思いも伝わってくる。身の引き締まる思いだ。(NHK出版新書、900円)

読売新聞
2020年6月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • このエントリーをはてなブックマークに追加