『わたしたちのカメムシずかん = OUR FIELD GUIDE TO STINK BUGS : やっかいものが宝ものになった話』
- 著者
- 鈴木, 海花 /はた, こうしろう, 1963-
- 出版社
- 福音館書店
- ISBN
- 9784834085525
- 価格
- 1,430円(税込)
書籍情報:openBD
【児童書】『わたしたちのカメムシずかん やっかいものが宝ものになった話』
[レビュアー] 黒沢綾子
■校長先生の提案で…
舞台は岩手県北部の葛巻町(くずまきまち)。全校児童が29人という山間(やまあい)の小学校で本当にあった話だ。それも、臭くてやっかいな印象しかないカメムシに、皆が夢中になった話というから面白そう。
葛巻でもカメムシは基本、嫌われている。洗濯物に付いたり農作物をダメにしたり、校舎にも大量に入ってきて掃除が大変だ。
ただ、カメムシをよく観察すると、いろんな種類がいることに気づく。そこで校長先生はある日、「名前をしらべてみませんか?」と子供たちに提案した。
カメムシを見つけたら写真を撮り、図鑑で名前をしらべて記録する。最初はとまどっていた児童たちも、いろんな色や模様、形のカメムシに出合うにつれ、探すのがどんどん楽しくなっていく。そしてついには自分たちの「カメムシずかん」を作ってしまうのだ。
最初の1年間に児童たちが見つけたカメムシは35種。名前を知れば、嫌だった虫にも親近感がわき、生態を知ると、付き合い方がわかってくる。自発的に自然と向き合う子供たちの姿が頼もしい。(鈴木海花 文、はたこうしろう絵、福音館書店・1300円+税)
黒沢綾子