『オレだけが名探偵を知っている』
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探している答えはどこにある?
[レビュアー] 林泰広(作家)
名探偵って何だろう?
それをひたすら考えています。
そこで頭を整理するために、謎がぎっしりと詰まった宝箱のような物語を書きました。
何重にも封印された「巨大な密室」を舞台に、元山賊の会長が用意した危険な「ゲーム」。
その中では誰もが他人の頭の中を必死に読み取ろうとし、それをもとに自分がするべきことを決めて、それぞれの戦略を立ててゆくしかない。
そうして様々な思惑と謀(はかりごと)が複雑に絡み合った結果、説明がつかない不可解な状況が生まれてしまった。
いったい何が起きたのか?
その答えを自分が見つけたいと願う二人の男が、推理と駆け引きを繰り広げてゆきます。
そしてそんな彼らを翻弄する名探偵。
二人の前に明確に提示されている答えとは何なのか?
名探偵を見つけることが出来るのは誰なのか?
これはそういう物語です。
角を曲がるたびに次は何が目の前に現れるのか分からない迷路のように、どこへ向かって進んでゆくのかが予測できない展開を目指しました。
知りたいことが一つ分かったら、そのせいでさらに知りたいことが増えてゆく。
何度も「これで謎が解けた」と思っては、次の瞬間に覆(くつがえ)されてしまう。
そうやって「ありえないことを全て排除した後に残ったもの」は、果たして何でしょう?
この「迷路」のどこかで息を潜めてあなたが気付くのを待っているその「答え」を、どうぞ楽しんで見つけてください。