「ナポリの男たち」と武田綾乃が語る、「ゲーム実況者」のリアル

対談・鼎談

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どうぞ愛をお叫びください

『どうぞ愛をお叫びください』

著者
武田 綾乃 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784103533511
発売日
2020/06/29
価格
1,485円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【『どうぞ愛をお叫びください』刊行記念対談】ナポリの男たち×武田綾乃/ゲーム実況への愛をお叫びください!

[文] 新潮社

4人全員の掛け算

武田 ナポリの男たちさんの動画は、役割分担がなされているロールプレイ式だったり、プレイヤーが順に代わっていくリレー式だったりと、企画性の高いものが多いように思うのですが、どういうふうに組み立てていかれているんですか?

すぎる まず「こういう面白そうなゲームがあるんやけど」という話から始まることが多いですね。ゲームが先にあって、じゃあそれにどんな企画を付けようか、っていうのをチャンネル放送(※)の終わりとかに4人で相談して、面白そうだったら録る、という感じです。台本とかはなくて。

※チャンネル放送……週に一度行われている、有料会員向けの生配信。4人が週代わりで企画を立て、生配信内で披露している。

武田 個人の動画とグループでの動画とでは、やっぱり作り方が違いますか?

すぎる 全く違いますね。4人のほうが、面白くするのは難しいです。なので、話し合いは結構複雑ですね。

蘭たん とはいえ、とりあえず録ってみよう、っていうパターンが多いかなあ。

すぎる 結成当初は、録る前に1か月とか2か月話し合うっていうこともありましたけどね。でも結局、それじゃ続かない、ってなって(笑)。

shu3 どこかで、テンプレートっていうか、型みたいなものが作れたら楽だなって思うときもあったんですけど。それは無理なんだな、っていうのが最近わかってきました。

hacchi ほしいけどね、テンプレ(笑)。「鉄人」(※)のときみたいに、気負わずやってみたら面白かった、っていう感じで偶発的にとれる動画もあるんですけど、それを毎回狙って出すのは不可能に近いですね。結果、とにかくやってみるしかない、という。

※「鉄人」……ナポリの男たちの動画「神ゲー『鉄人28号』を4人で対戦」のこと。

蘭たん 4人全員が掛け算になっている動画ができれば理想ですね。

shu3 ひとりだと、自分の裁量で100点の動画を目指せるんですけど、4人だと、20点になったり、200点になったりします。そこが難しいですよね。

すぎる 録り方もはなから違いますしね。個人実況やとゲームの中にいる人みたいに振る舞って喋るんですけど、グループ実況やと、友達とゲームをやるような感覚というか。

武田 コントロールできる割合が減るという感じなんでしょうか。

蘭たん そうですね。なので、いまだにグループに関してはよくわからないです(笑)。個人だと、大体こうすればいい、っていうのはあるんですけど。

hacchi でも、4年前と比べれば、ちょっとは見えてきたよね。

すぎる うん、初期の頃よりは。

武田 ナポリの男たちさんの動画って、一つ一つの動画の密度が濃いですよね。エンターテインメントとして濃密というか。それが本当にすごいな、といつも思って見ているんですが、その裏にある大変さを、今日またしみじみと感じました。

蘭たん ありがとうございます。なるべくそうしたいなと思いながら作ってはいます。でも、大変さは実況に限らずですよね。実写動画(※)とか、どんだけ大変なんだって思います。あれに比べたら、ゲーム実況は楽なほうなのかも。

※実写動画……ゲームなどの画面ではなく、本人が登場する動画のこと。

shu3 たしかに。企画を毎日考えて実写動画を撮って編集するって、凄まじいですよね。

hacchi あれはゲームに頼らないから個人の実力勝負だもんね。

新潮社 波
2020年7月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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