【気になる!】新書『人間の義務』
[レビュアー] 産経新聞社
思わず姿勢を正したくなるタイトル。雑誌の連載エッセーなどによる2部構成で、人生の本質と生き方を探る21話を収録している。
著者は嘆く。今の若い世代は「生き延びることにドラマも達成感も見出さなくなっている」と。戦時体験やカトリックの学校で育った経験がある著者からすれば、人間は「生きていられたら、万々歳なのだ」。
さらに、生きている限りは「折り目正しく」▽「運命」は、最終的に人を差別しない▽一生は「今日一日」の積み重ね…。数々の人生哲学、夫・三浦朱門氏最期の日々にもふれ、読めばまた背筋が伸びる。(曽野綾子著、新潮新書・720円+税)