「組紐ジグザグのマジック」 大谷章夫、多田牧子・文、佐治康生・写真

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組紐 ジグザグのマジック

『組紐 ジグザグのマジック』

著者
大谷章夫 [著]/多田牧子 [著]/佐治康生 [写真]
出版社
LIXIL出版
ISBN
9784864805292
発売日
2020/03/13
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

「組紐ジグザグのマジック」 大谷章夫、多田牧子・文、佐治康生・写真

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 タイトルにある「マジック」はだてではない。美しく丈夫で多様な使い道のある組紐(くみひも)を作り出す技術は、その歴史のスタートの時点から魔法のように完成されていた。たとえば十五ページに掲載されている正倉院宝物の一つ「組紐幡頭(ばんとう)」は、今もほとんど目に緩みが見えない上に、色合いも鮮やかだ。ぜひ本書でその美しい朱色と矢羽根模様を確かめていただきたい。

 組紐の歴史を知り、数々の写真を見たあとでは、大河ドラマのなかに登場する武将たちの甲冑(かっちゅう)や太刀を見る目が変わるかもしれない。我が国の工芸技術の集合体である甲冑という武具のパーツを構成し、繋(つな)ぎ合わせて彩るのは、繊細で緻密(ちみつ)な技を持つ辛抱強い匠(たくみ)たちによって作り出される組紐だった。刀の柄巻のモダンなセンスは、ちょっと昔のケータイのストラップや、今のスマホカバーにまで通じている。(LIXIL出版、1800円)

読売新聞
2020年6月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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