『邦人奪還』
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【『邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき』刊行記念対談】伊藤祐靖×石破茂/当事者が語る自衛隊の「リアル」
[文] 新潮社
伊藤祐靖氏と石破茂氏
【『邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき』刊行記念対談】伊藤祐靖×石破茂/当事者が語る自衛隊の「リアル」
全自衛隊初の特殊部隊、海自特別警備隊の創設に関わった元隊員の伊藤祐靖氏によるドキュメント・ノベル『邦人奪還―自衛隊特殊部隊が動くとき―』が刊行され、話題だ。著者の伊藤氏が、元防衛大臣の石破茂氏と共に、「自衛隊」の現場のリアルを熱く語り合う。
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石破 お目にかかれて嬉しいです。防衛大臣だった時代(2007年9月から翌年8月まで。2002年9月から2004年9月まで防衛庁長官を務めた経験もあり)から、お名前はかねがね伺っていまして。
伊藤 今日はありがとうございます。
石破 伊藤さんといえば、自衛隊初の特殊部隊、海自特別警備隊の創設にも携わられ、そのまま現場へ行って指揮を執る先任小隊長としてご活躍されていたので、防衛省界隈では有名でした(2007年に退官)。
コロナ禍での過ごし方
石破 退官後はどうされていたんですか?
伊藤 フィリピンのミンダナオ島で技術を磨き直してから、仕事として警備会社のアドバイザーをしたり、私塾で自衛官などに技術や経験を伝えたりしています。特殊部隊のトレーニング方法をアレンジして、発達障害の子どもたちに感覚統合療法の一環として教える活動にも携わっていて、この4月からコロナでこもっている間はずっと、そのプログラムで子供達と過ごす日々です。石破さんはコロナの影響はどうでしたか?
石破 3月末ごろから外で人と会う機会がキャンセルになって、7月くらいまでは大きな予定がほぼなくなりました。そうしたら意外にも、テレビや雑誌、何を期待されているのかなぜか女性誌の取材が増えまして(笑)。とはいえ、夜の9時ごろには帰宅できるようになり、集中して読書ができるのはありがたいです。
伊藤 どんな作家を読まれますか?
石破 久しぶりに大好きな三島由紀夫を読み返しています。『豊饒の海』四部作、他にも『女神』……『美徳のよろめき』なんかも流麗ですね。
伊藤 昔から本は多く読まれていたんですか?
石破 大学は法学部だったので、法律書ばかりでした。でも、結構文学も読んでいましたね。若い頃好きだったのは五木寛之ですね、圧倒的に面白くて、全部読んでいました。『蒼ざめた馬を見よ』も良かったし、特に好きだったのは『天使の墓場』という作品。核兵器を積んだB-52が墜落して……という小説ですね。もっとも、自粛期間中は、結局、仕事に関連した専門書を中心に読んでいましたが。
伊藤 私なんぞ、試験の時に必死に教科書を読むのが読書だったというクチでした(笑)。