自律神経の第一人者が教える、腸の免疫力を高める「朝のシンプルな習慣」

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

自律神経の第一人者が教える、腸の免疫力を高める「朝のシンプルな習慣」

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

新型コロナウイルス対策などの影響もあり、「免疫力を高める」ことに注目が集まっています。

そんななか、特に「腸内環境」を整えることの重要性を説いているのは、順天堂大学医学部教授である『病気にならない1分免活──腸の免疫力を高める生活習慣』(小林弘幸 著、自由国民社)の著者。

自律神経の第一人者として知られ、順天堂大学に日本で初めての便秘外来を開設した〝腸のスペシャリスト〟でもあります。

身の回りには病気を引き起こす病原体がたくさんいます。それらが外部から侵入したり、体内でつくられたりしています。それでも、多くの人が発病しないのは、さまざまな免疫細胞が連動し、それらを排除し、死滅させるために働いているからです。

この体内の免疫細胞の約7割が、なんと腸内の腸壁の近くに待機していることがわかっています。(「はじめに──「腸活」で免疫力はぐんぐん上がる!」より)

したがって、「いかに腸内環境を整えるか」が重要だということです。

そればかりか免疫細胞は、腸内で敵を撃退するだけでなく、血流に乗って全身に移動し、体内のいたるところで戦うようになるのだとか。

他にもさまざまな機能を備えた腸は、「第2の脳」と呼ばれてもいるのだそうです。

そんな腸については、免疫力を高めることだけではなく、働きが悪くならないように維持することも重要なポイント。

そこで本書では「1分 腸活」をベースに、そのポイントとメソッドをまとめているわけです。

きょうは「朝の習慣」に焦点を当てたSTEP1 「1分で“免疫スイッチ”を入れる朝の腸習慣」のなかから、2つのポイントを抜き出してみたいと思います。

30分余裕をもって起きよう

腸活を成功させる秘訣は、「朝」。

昔から「早起きは三文の得」といわれますが、腸にとっても例外ではないというのです。

朝はちょうど、自律神経が副交感神経から交感神経に切り替わるタイミングです。

自律神経は呼吸や心拍数、血圧など人間の生体にかかわる活動をコントロールしている神経で、緊張や興奮したとき、また活動時に活発になる交感神経と、リラックス時や睡眠時に活発になる副交感神経がバランスをとるように働いています。(14ページより)

起床後、徐々に副交感神経から交感神経に切り替わっていくわけですが、バタバタした慌ただしい状態は交感神経の働きを一気に高めてしまうことになります

そのため、切り替えがうまくいかなくなってしまうのです。

すると当然ながら、1日の自律神経のバランスは不安定になりがち。自律神経は腸の働きと関係しているため、腸の働きそのものにも影響を及ぼすのだそうです。

つまり、そんな生活が繰り返されると、腸はどんどん本来の働きができない状態になっていってしまうということ。

腸が本来の働きをするための“スイッチ”を入れるのは、朝なのです。朝こそ、体のリズム、腸のリズムを整え、1日のスタートをスムーズに切るための重要な時間といえます。(15ページより)

朝をどう過ごすかが「強い、健やかな腸」になるためのカギであり、そこで重要な意味を持つのが、ゆとりを持って起床すること

余裕があればしっかり朝食がとれるので、腸の働きが促され、排便リズムをつけるきっかけにもなるわけです。

早めの起床はきちんとした朝時間を過ごすための前提になるというわけで、著者は「いつもより30分早く起きること」を心がけるべきだと説いています。

前の日に30分早く目覚ましをセットし、翌朝はその時刻に起きるだけ。1週間それを続けてみるといいそうです。

「朝がつらい」「起きるのが苦手」と気にし過ぎるとストレスになり、腸にもよくないので、寝坊した日があったとしても「明日は大丈夫」と気楽にかまえ、がんばりすぎないことが上手に習慣化するコツだといいます。(14ページより)

朝、コップ1杯の水を飲む

腸の働きをよくするために、朝、目覚めたらコップ1杯の水を飲もうと著者は勧めています。

腸は睡眠中に消化・吸収を終え、朝方には動いていません。そんなタイミングで水を飲めば、腸を目覚めさせることができるのです。

つまりは空っぽの胃に水が入って重くなるため、腸が刺激されるということ。

その結果、ぜん動(収縮)運動のスイッチが入り、スムーズな排便につながっていくのだそうです。

飲むときは「一気に」がポイント。勢いよく飲んだほうが腸への刺激が起こりやすくなります。

水は冷たくても温かくてもどちらでもOKですが、体を冷やしたくない人は常温、または白湯がおすすめです。(25ページより)

小腸と大腸を合わせ、腸全体の長さが7メートル以上もあるというのは有名な話。腸のぜん動運動が停滞すると食べものの進みが遅くなり、腸内の流れが止まってしまうことに。

その結果、腸壁が水分を吸収して便が硬くなってしまい、便秘になるわけです。

便秘が続くと、いわゆる「宿便」がたまり、便の腐敗が進むことになります。

そのため腸内環境が悪くなってさらにぜん動運動が弱まるため、便秘が続くという悪循環に陥ってしまうのです。

ですから、便秘をしないためには毎朝、起き抜けに水を飲んでぜん動運動をうながす習慣をつけることが重要になるのです。

「朝はコップ1杯の水!」を合言葉に、毎日続けてみてください。(26ページより)

著者によれば、実践した人の多くは1週間ほどで腸の動きがよくなったと実感しているそうです。

水分不足も便秘の一因。逆にいえば、水を飲むことで便を柔らかくできるというメリットが生まれることになるわけです。

人間は、汗や尿などで1日約2リットルの水分を排出しているとされています。

そこで、朝はもちろん、他の時間にもこまめに水分補給をし、1日1.5リットルを目安に水の摂取を心がけるべきだということです。(25ページより)

「1分でできる」「1分でわかる」簡単なメソッドばかりなので、無理なく取り入れることができるはず。腸の免疫力を高めるために、是非とも参考にしたい一冊です。

Photo: 印南敦史

Source: 自由国民社

メディアジーン lifehacker
2020年7月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク