『さあ、本当の自分に戻り幸せになろう』
- 著者
- マーク・チャーノフ [著]/エンジェル・チャーノフ [著]/矢島麻里子 [訳]
- 出版社
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- ISBN
- 9784799326329
- 発売日
- 2020/07/17
- 価格
- 1,650円(税込)
「自分の物語」から抜け出す。人気ブロガーが教える困難の乗り越え方
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
苦痛に感じていることや、背を向けたほうが楽なことなど、幸せな人生を送るためには「困ったこと」に向き合わなければならないもの。
しかし、そうした困難こそが、結局は自分を強くし、人生を変えてくれるのだと主張するのは、『さあ、本当の自分に戻り幸せになろう 人生をシンプルに正しい軌道に戻す9つの習慣』(マーク・チャーノフ, エンジェル・チャーノフ 著、矢島麻里子 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者です。
毎月200万PVのアクセス数を誇るという“Marc & Angel Hack Life”のブロガー。
本書では、個人的な体験やポジティブ心理学研究、長年のライフコーチング経験に基づき、「考え方や行動を変えて習慣をつくる過程」を説いているのです。
人生に確実なものはなく、将来何が起こるか、正確に知ることはできません。 そうであるならば、今、生きる上でできる最善のことは、現状に失望しているときでも、今この瞬間を、最大限ポジティブに生かすことです。(「INTRODUCTION 人生は、いつからでも、新しいスタートを切ることができる」より)
きょうは5「Perspective ものの見方 人生の試練に美点を見いだそう」のなかから、いくつかのポイントを拾ってみたいと思います。
困難に直面しているときこそ、健全なものの見方を保とう
変化することが人生の基本であるなら、なぜ私たちはそれらの変化を受け入れようとせず、抵抗してしまうのでしょうか?
それは、私たちが抵抗することに慣れきっているからにすぎないからだと著者はいいます。
自分が慣れ親しんだ環境の境界線を越えてコンフォートゾーンを押し広げることや、向き合う準備ができていない現実に足を踏み入れることは、たしかに大変なことのように思えます。
しかし、思い切ってそうした壁を乗り越えてしまえば、精神的・感情的に自由になることが可能。
そして難しい状況から距離を置いて、より建設的な視点からその状況を見られるようになるものでもあります。
にもかかわらず人生の大半を、事実が一部しか含まれない話や嘘を受け入れて過ごし、その結果として自分自身の成長や学びを妨げられ、潜在能力を発揮できない人も少なくないというのです。
そのような嘘のたぐいに立ち向かうのは不安で恐ろしいことですが、絶対に必要なことでもあると著者は訴えています。
そして、そのことを踏まえたうえで、「人生を変える5つの真実」を紹介してもいます。
これらは、健全なものの見方を身につけることを妨げようとする「嘘」を見抜く手がかりだそう。
この5つを認識していなければ、自分の価値や能力、逆境を乗り越える力について歪んだ見方しかできず、「自分の物語」から抜け出せなくなる恐れがあるというのです。
[健全なものの見方のための真実]
① 自分が抱える葛藤の大半は自分で生み出したものであり、一瞬にしてそれを克服する選択ができる
② 正当でも重要でもない他人の判断を恐れている
③ 過去の経験にとらわれて、自分の能力を過小評価している
④ つらい痛みや悲しみ、失敗は、じつは成長の糧になる
⑤ 人生で最終的に望むものを手に入れるには、何かをあきらめなければならない
(181ページより)
困難な状況に直面したときにこれらの真実を思い出せば、予想外の事態が起きたとしても、自分の見方を正しく保つことができるそうです。(180ページより)
なにもかもうまくいかないとき、思い出してほしいこと
自分が置かれた状況への見方を変えれば、つらい時期でさえ、人生に求めているものを理解するチャンスに置き換えることができるもの。
そこで著者は、人生の逆境やうまくいかない状況にあるときに必要になる「ものの見方を変えるヒント」を紹介しています。
ものの見方を変えるヒント1:成長に痛みはつきものである
物事がうまくいかないときは、「意味もなく痛みは生じない」と自分に言い聞かせることが大切。苦しいからといって、失敗するとは限りません。
素晴らしいことを成し遂げるには時間がかかるものだからこそ、辛抱強く、前向きでいることが重要なのです。(190ページより)
ものの見方を変えるヒント2:人生のすべては、一時的なもの
暗闇のあとには、必ず光が現れるもの。すべての瞬間が新たな始まりと新たな終わりをもたらし、刻一刻と新しいチャンスが訪れるのです。
だからこそチャレンジをし、チャンスをものにするべき。(191ページより)
ものの見方を変えるヒント3:心配しても文句を言っても何も変えられない
なにか大きなことをやろうとして失敗するほうが、文句ばかりいってなにもしないよりもずっとマシ。それに、失敗したら終わりなのではありません。
信じていることがあるなら、挑戦すべきなのです。(191ページより)
ものの見方を変えるヒント4:小さな試練が前進につながる
なにかに挑戦するなら、時間をかけて徹底的に取り組むことが大切。
不安定で不快な状況に置かれ、平静さを失うこともあるでしょうが、一歩一歩進むにしたがって、想像以上に気分がよくなるもの。
道の途中で試練に遭遇するのではなく、その道自体が試練だということです。(192ページより)
ものの見方を変えるヒント5:他人のネガティブな感情に振り回されない
人から粗末に扱われても、自分らしさを貫くべき。
他人の恨みに引きずられるのではなく、その相手を反面教師にして、自分の熱意と集中力を保つことが大切だという考え方。(193ページより)
ものの見方を変えるヒント6:結局、なるようになる
自分の人生を愛するということは、自分の直観を信じて挑戦し、失敗してもそこに幸せを見つけ、思い出を大切にし、経験から学ぶということ。
心配し、戸惑い、疑うことをやめれば、やがて「いるべき場所」にたどり着くのです。(193ページより)
ものの見方を変えるヒント7:一番大事なのは、つづけること
苦い教訓によって、心を閉ざすべからず。なぜなら人生最高の教訓は、最もつらい時期にこそ得られることが多いから。
最高の状態に達するためには、ときに最悪の状態に耐えなければならないということです。(194ページより)
決して難しいアプローチがなされているわけではなく、それどころかシンプルで簡潔な内容。
開いた時間に好きなところから読めるので、気軽に手にとってみれば、自分にとって大切なことを見つけ出すことができるかもしれません。
Photo: 印南敦史
Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン