【聞きたい。】滝沢秀一さん『ゴミ清掃員の日常 ミライ編』

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ゴミ清掃員の日常 ミライ編 あたらしい時代で、しあわせになるゴミ出し術

『ゴミ清掃員の日常 ミライ編 あたらしい時代で、しあわせになるゴミ出し術』

著者
滝沢 秀一 [著、著]/滝沢 友紀 [著]
出版社
講談社
ジャンル
芸術・生活/コミックス・劇画
ISBN
9784065196083
発売日
2020/07/20
価格
1,100円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【聞きたい。】滝沢秀一さん『ゴミ清掃員の日常 ミライ編』

[文] 油原聡子


滝沢秀一さん

■コロナ禍で感謝の手紙も

 お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動していた平成24年、生活苦からゴミ清掃員の仕事を始めた。回収体験やゴミについての気づきを情報発信する中で昨年、妻の作画によるコミックエッセー「ゴミ清掃員の日常」を出版。続編の本書は「ミライ編」と銘打ち、分別のコツや最終処分場、フードロスなども取り上げた。リサイクルやゴミ処理システムの維持には税金が投入されていることや、分別が徹底されないことでかかる費用も明かされる。

 「ゴミは日常のことですが、日常を作るには積み重ねが必要。協力してよい社会を作る、その大切さが意外と気づかれていない」

 今春のコロナ禍でも、清掃員として働いた。「結構怖かったです。自宅療養者の方もいますし。むき出しのままマスクが集積場においてあることもありました」と振り返る。ただ、社会の維持に不可欠な労働者「エッセンシャルワーカー」が注目されたことで、ゴミ清掃員に対する視線も変化。ゴミ箱の底に感謝の手紙が残されていたこともあったという。

 本書では、袋の口がちゃんと結ばれていないためゴミがこぼれてしまうケースなど、回収現場の苦労にも触れる。「糾弾したいんじゃないんです。ちょっとゴミのことに目を向けてみませんかと言いたくて。自分も前は、なんで捨てるのにプラスチックの弁当容器洗うんだろうくらいの感覚でした」

 漫画形式にしたのは多くの人に届けるためだ。「活字アレルギーの方もいますし、リサイクルは習慣。子供のうちから教えないとダメ」との思いからだ。

 今では「ごみ研究家」の肩書も持ち、テレビ出演も増えた。「おかげでお笑いも楽しんでやれるようになりました。最終的には日本のゴミを少なくしたいという大きな野望があります」

 読むと、分別が楽しくなる。自分の行動が未来につながっていると教えてくれる一冊だ。(講談社・1000円+税)

 油原聡子

   ◇

【プロフィル】滝沢秀一

 たきざわ・しゅういち 昭和51年、東京都生まれ。平成10年にマシンガンズを結成。著書に『このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景』(白夜書房)など。

産経新聞
2020年7月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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