【児童書】『美術館って、おもしろい!』 知的案内、大人も満足
[レビュアー] 渋沢和彦
中央ヨーロッパに位置するチェコで、2番目の規模とされるモラヴィア美術館。本書は同館スタッフが中心となって編んだ。
美術館は館長や学芸員が表の顔とすれば、保存、修復、警備などの裏方の人たちもいる。洗練されたイラストとともに、美術館の仕事の隅々にも光を当てた。
こんなしゃれた文章が記されている。〈--ふだんとは違う角度から世界を見ようとする人は、みんな、美術館の鑑賞者です〉
本書は2016年にチェコで出版。翌年のボローニャ・ブックフェアで、優れたブックデザインに贈られるラガッツィ賞を受賞した。イラストは気鋭のアーティストが担当しているだけあって質が高い。知的でユーモアがあり、ページをめくっていて楽しい。現在、10カ国以上で出版されているという。
世界の有名美術館やその成り立ち、歴史的な名画を簡潔に解説。西洋美術の歴史もたどり、美術館の価値や仕組みを理解することができる。子供だけでなく、大人も満足させてくれる。(モラヴィア美術館編著、阿部賢一、須藤輝彦訳/河出書房新社・3200円+税)
渋沢和彦