家計簿と統計 佐藤朋彦著

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家計簿と統計

『家計簿と統計』

著者
佐藤 朋彦 [著]
出版社
慶應義塾大学出版会
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784766426892
発売日
2020/07/14
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

家計簿と統計 佐藤朋彦著

[レビュアー] 稲野和利(ふるさと財団理事長)

 都道府県庁所在地で世帯当たりタクシーの年間支出額が最も多いのは東京都区部、二位は坂の多い地形の長崎市。では県庁所在地で鰹節(かつおぶし)の世帯当たり年間消費金額が最も多いのは何市?

 本書はこういった雑学系のネタも提供するが、総務省統計局が行う「家計調査」の結果を通じて家計消費の実態や変化を紹介すると同時に、初歩の統計リテラシー習得にも配慮した読みやすくかつ役に立つ本である。社会経済の変化を意識して統計を見ることにより新たなトレンドが見えてくると本書は説くが、共働き世帯の増加が食料品消費に占めるおにぎり等「調理食品」の割合を上昇させる一因となったなどの実例が豊富に提示され、我が国における消費生活の変化が確認できる。

 巻末付録では、家計調査の結果にアクセスする方法がわかりやすく解説してある。これを読めばPC等を使い統計データを渉猟することができるようになるが、一見無味乾燥にも見える数字の並びの向こうに知的刺激に満ちた世界が広がっていることに目を見張ることになるだろう。統計の世界は奥が深い。(慶応義塾大学出版会、1600円)

読売新聞
2020年8月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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