平成の経済政策はどう決められたか 土居丈朗編著

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平成の経済政策はどう決められたか

『平成の経済政策はどう決められたか』

著者
土居 丈朗 [著]
出版社
中央公論新社
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784121101075
発売日
2020/05/08
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

平成の経済政策はどう決められたか 土居丈朗編著

[レビュアー] 瀧澤弘和(経済学者・中央大教授)

 経済学者が経済政策に本格的に関与するようになったのは比較的最近のことだ。今世紀に入り、経済財政諮問会議が小泉内閣のもとでフル稼動し始めたのが最初である。本書はこの時から今日に至るまでの政策策定過程を振り返る貴重な記録である。

 興味深いのは、しばしば言及されている小泉内閣と第2次安倍内閣の対比である。小泉内閣のもとでは、予算編成プロセス改革とともに、経済財政諮問会議を司令塔とした政策決定がなされていたが、安倍内閣は複数の会議体を並立させている。政治的リーダーの優先順位のつけ方や省庁間の影響力をめぐる争いがそこに影を落としている。

 経済学者の提案は、予想外の出来事や政治に影響されて、必ずしもそのまま通るわけでない。しかし、財政健全化を論ずる際に基礎的財政収支(プライマリーバランス)に着目することなど、数多くの貢献を残してきた。

 ところどころ、政策に関与した経済学者との対談が挿し込まれている。そこでは、政治の世界を間近で見た経済学者たちの観察が率直に述べられていて、大変興味深い。(中公選書、1800円)

読売新聞
2020年8月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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