テロリズムとは何か 小林良樹著

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テロリズムとは何か

『テロリズムとは何か』

著者
小林 良樹 [著]
出版社
慶應義塾大学出版会
ジャンル
社会科学/政治-含む国防軍事
ISBN
9784766426809
発売日
2020/06/16
価格
2,970円(税込)

書籍情報:openBD

テロリズムとは何か 小林良樹著

[レビュアー] 篠田英朗(国際政治学者・東京外国語大教授)

 新型コロナ危機下においても、世界各地でテロ事件は頻発しているし、「テロとの戦い」が終わる気配はない。世界情勢を把握するためには、今もテロ問題について注意を払っておかなければならない。

 だがそれにもかかわらず、学術的な見地も含めてテロ問題の諸相をコンパクトにまとめた邦書がなかった。その間隙(かんげき)をうめるのが、本書だ。

 日本政府内でテロ問題に関わってきた著者が、大学で教鞭(きょうべん)をとるようになり、学術的議論の動向もふまえて執筆した。概念的整理、歴史的展開、テロ行為の特徴や、テロ発生メカニズム、防止策、そして時事的情報や主要テロ団体の紹介までを、体系的に要領よく提供する。

 米国のテロ事情においては、最近注目された「アンティーファ」も紹介する。また、日本のテロ情勢が、ゆるやかに世界的趨勢(すうせい)と呼応してきていることも指摘する。

 テロ対策は、「安全と権利自由の両立」と「社会の心理的強靱(きょうじん)性(レジリエンス)」の2点において、新型コロナ対策にも通じるという指摘に、納得感がある。(慶応義塾大学出版会、2700円)

読売新聞
2020年8月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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