初沢亜利著 「東京、コロナ禍。」

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東京、コロナ禍。

『東京、コロナ禍。』

著者
初沢亜利 [写真]
出版社
柏書房
ISBN
9784760152612
発売日
2020/07/22
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

初沢亜利著 「東京、コロナ禍。」

[レビュアー] 飯間浩明(国語辞典編纂者)

 新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)によって、街の風景は一変しました。行き交う人はみなマスクをし、どの飲食店もテイクアウトの看板や貼り紙を出し……。

 それだけではありません。著者はコロナ禍に見舞われた首都を「事件」の現場と捉え、カメラを持って縦横に飛び回ります。

 使用禁止のテープが張られた公園の遊具。感染防止を呼びかける渋谷駅職員の顔写真入り手製ポスター。東京タワーの向こうを飛行するブルーインパルス。

 人々も大変です。間隔を開けて並ぶための印を床に貼る店員。マスクをずらしてキスをするカップル。デモをする人。路上に寝る人。居酒屋従業員もマスク姿でポーズを取ります。

 よくこんなシャッターチャンスが、と驚く。日常というものをすっかり失った東京の今が活写されます。現代史の記録であるばかりでなく、アートとして極上の作品群です。(柏書房、1800円)評・飯間浩明

読売新聞
2020年8月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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