辰巳芳子 ご飯と汁物 辰巳芳子著

レビュー

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辰巳芳子 ご飯と汁物

『辰巳芳子 ご飯と汁物』

著者
辰巳 芳子 [著]
出版社
NHK出版
ジャンル
芸術・生活/家事
ISBN
9784140333105
発売日
2020/07/16
価格
2,640円(税込)

書籍情報:openBD

辰巳芳子 ご飯と汁物 辰巳芳子著

[レビュアー] 木内昇(作家)

 おいしいご飯と味噌(みそ)汁があれば――日本食になじんだ人ならそんな台詞(せりふ)を一度は口にしたことがあるのではないか。本書は、四季折々の食材を用いた、まさにご飯と汁物に特化したレシピ集。95歳を越えてなお料理研究家として活躍を続ける著者の、細やかな技と知識が詰まっている。

 たけのこご飯のたけのこはいちょう切りより千切りにしたほうが、ご飯とうまくからむ。かやくご飯は「加薬」の意味で、根菜から力をもらえる。菜飯や五目ずし、七草がゆなど定番の一品も、手間と工夫を惜しまぬことで鮮やかなごちそうになる。

 本書では、米や大豆の国内自給率をはじめ、食と農の関係にも言及している。その根底にあるのは、父の介護経験から「いのちのスープ」を考案した著者の、食とはすなわち命の源、との思い。巻頭に収められた、戦後食糧難時代の縁のすり減った一合枡(ます)の写真からは、米櫃(こめびつ)の底をこそぐようにして米を集めた様子が浮かぶ。食が命を繋(つな)ぐのはいつの時代も同じ。食材を見極め、持ち味をあますことなく引き出した料理は、人の心や体を豊かに育んでいくのだ。(NHK出版、2400円)

読売新聞
2020年9月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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