『中古典のすすめ』
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『中古典のすすめ』斎藤美奈子著
[レビュアー] 産経新聞社
一世を風靡(ふうび)したものの、歴史的評価はまだ定まらない“古典未満”の本。そんな「中古典」について、文芸評論家の著者が賞味期限を大胆に判定する。鋭い分析に納得したり、考え込んだり。議論を呼びそうな刺激的な一冊だ。
扱うのは1960年代から90年代初頭までの48冊。黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』を貫く肯定力をたたえ、村上春樹『ノルウェイの森』の人気にバブル景気から疎外された人々の孤独を重ねる。〈中古典はときに眩(まぶ)しく、ときに恥ずかしい〉と著者。中古典を論じることは、時代を論じることでもあるのだと気づかされる。(紀伊国屋書店・1700円+税)