雑貨といえば、かつては亀の子タワシやバケツなどの日常生活用品のことだった。いつのころからかわが国では「雑貨」の概念が大きく変容を遂げ、実用性は問わず生活を彩るものを「雑貨」と呼ぶようになった。
東京・西荻窪で雑貨店を営む著者は、いままで雑貨ではなかった物が雑貨として流通して消費されることを「雑貨化」と呼ぶ。その視角から、雑貨が繁茂するわが国の“おしゃれ”な消費社会のありようを無印良品、ディズニーランド、村上隆などをキーワードに観察し、その現状と行きつく先を、切れ味鋭い文章でつづってゆく。(新潮社・1800円+税)
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2020年9月20日 掲載
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