今夏、直木賞候補となった著者の最新刊は、過去にとらわれた男たちの心の動きを繊細に描いた連作短編集。一つ一つの物語を、国民的スター堀尾葉介がつなぐ。
14歳でアイドルとしてデビューした堀尾は、22歳のときに演技の道へと転身。容姿と才能に恵まれた実力派俳優だが、謙虚で努力を惜しまず、圧倒的な人気を誇る。
そんな堀尾と、器用には生きられない男たちが接点をもつ。堀尾は疫病神か、それとも福の神か。1話ごとに、謎めいた堀尾の過去も解き明かされて…。
題名にも含まれる「雨」のシーンが印象的。秋雨の日のお供にも。(光文社・1600円+税)
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2020年9月27日 掲載
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