【児童書】『9歳のこころのじてん』 アジア各国で大人気

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【児童書】『9歳のこころのじてん』 アジア各国で大人気

[レビュアー] 黒沢綾子

 言葉で伝えないと、なかなか相手にわかってもらえない。でも、自分の今の気持ちを的確に言い表すのは、大人だって難しい。

 本書は、多感になり複雑な感情を抱き始める9歳、つまり小学3年生前後の子供たちに向けた“気持ちを表す語彙辞典”だ。小学館によれば、2017年に韓国で刊行されて以来、アジア各国で翻訳され、計20万部超のベストセラーになっているという。

 「うれしい」「かわいい」「悲しい」といった比較的単純な言葉から、「心がなごむ」「もどかしい」「むねがいたむ」などとちょっぴり複雑な感情を表す言葉まで、74の表現を五十音順に、イラストと例文で紹介している。

 感情を言葉に置き換えることで、自分の心境を客観視して冷静になれたり、周囲がよく見えたりする。ちょっとした思い違いで友達とけんかしたり、子供たちの日常も何かと複雑だ。

 いろんな表現を身に着けることで、自分の気持ちを明確に伝えるだけでなく、相手を思いやる心も育まれるだろう。(パク・ソンウ文、キム・ヒョウン絵、清水知佐子訳/小学館・1300円+税)

 黒沢綾子

産経新聞
2020年9月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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