【気になる!】文庫『白い病』
[レビュアー] 産経新聞社
戦争前夜の世界に「白い病」が雪崩のように流行する。未知の病原体による感染症で、50歳以上のほぼ全員が感染し、皮膚に大理石のような白い斑点ができて死にいたる病だ。
治療法が見つからないなか、特効薬を発見したという町医者が現れ、成果を見せる。だが、薬の提供にあたって町医者はある条件を要求、やがて独裁者の元帥と対峙(たいじ)する。
チェコの国民的作家である作者が1937年に発表した戯曲。軍国主義、疫病が広がるなか、本当の恐怖とは何か。コロナ禍の日々、真に迫る「戦慄の予言的SF」だ。(カレル・チャペック作、阿部賢一訳、岩波文庫・580円+税)