後ハッピーマニア1 安野モヨコ著

レビュー

3
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後ハッピーマニア

『後ハッピーマニア』

著者
安野 モヨコ [著]
出版社
祥伝社
ジャンル
芸術・生活/コミックス・劇画
ISBN
9784396767952
発売日
2020/08/06
価格
990円(税込)

書籍情報:openBD

後ハッピーマニア1 安野モヨコ著

[レビュアー] 鈴木洋仁(社会学者・東洋大研究助手)

 「ふるえるほどのしあわせ」を求め2001年に完結した「ハッピー・マニア」の続編は勢いより哀(かな)しさを見せる。

 主人公・重田(しげた)加代子の恋愛劇は平成を代表する名作だ。

 初見でも愛読者でも冒頭の「おさらい」を読み、前作の怒濤(どとう)の展開を確かめよう。

 彼女がさんざん振り回したタカハシとの関係は逆になり離婚の意志を告げられる。

 20代だった主人公は45歳になり当時の馬力はない。幸せ(ハッピー)を求めるマニアぶりは鳴りを潜め、15年間の結婚生活が走馬灯のように頭を駆け巡る。タカハシを尾行する主役は、親友フクちゃんの言葉を借りれば「不憫(ふびん)」だが、夫婦をめぐる彼女たち2人の苦悶(くもん)は他人事だろうか?

 安野モヨコはデビューから30年を超える紆余(うよ)曲折の中、業としか言えない喜怒哀楽を圧倒的な画力と作話力で表してきた。悲哀を後ろ向きではなく人生の深みに変える彼女に、いつまでもどこまででもついていきたい。(祥伝社、900円)

読売新聞
2020年9月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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