「電波少年」T部長の過激ロケが原因で引っ越し 矢部太郎が明かす「大家さんと僕」が生まれたきっかけ

対談・鼎談

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「大家さんと僕」と僕

『「大家さんと僕」と僕』

著者
矢部, 太郎, 1977-
出版社
新潮社
ISBN
9784103512127
価格
1,100円(税込)

書籍情報:openBD

大ヒット記念爆笑トークショー「土屋さんと僕」土屋敏男×矢部太郎・対談

[文] 新潮社

似顔絵でコミュニケーション

土屋 矢部の部屋でポケバイや霊媒師の企画をやった番組をやっていたのが、(千原)ジュニアと馬場典子だったので、最近そのメンバーで矢部におごってもらおうっていう企画をやってね。

矢部 「本売れてよかったな、お祝いに飯おごれよ」っておかしいですからね! ロケだって描けるやつは漫画に描いてますけど、もっとメチャメチャやられてますから。そうだ、今日僕は、土屋さんに抗議しようと思って来てます! 当時、土屋さんが引っ越したんですけど、そこで出たゴミを僕が昔住んでいた部屋に押し込む企画があって。

土屋 ソファベッド、電子ピアノ、クリスマスツリー、マッサージチェア……。

矢部 雛人形フルセットもありましたよ! 引っ越すとき、それが全部置ける広い部屋を探して、今の大家さんの物件が出てきたんですよ。

土屋 じゃあまだ俺のものはあるわけ?

矢部 ありますよ! 今の部屋は広いワンルームなので、『電波少年』の時の部屋に似てるんです。だから引っ越した当初、思い出しちゃって、嫌だからさらにものを増やしたんです。あの部屋のイメージから遠ざけようと思って。でも漫画を描くときに部屋の真ん中にあるテーブルで描くんですけど、そうすると思い出すんですよ、あの部屋を……。

土屋 楽しかった思い出が!(笑)

矢部 全然楽しくはないですけど……。

土屋 アフリカ人の先生がスワヒリ語を教えに来たりしたよね。その次にモンゴル人の家族がホームステイして。

矢部 突然家に来るんですよ! でもモンゴルの方、高血圧だから暑がりで、エアコンの設定温度を常に18度にするんです。僕、超寒がりで、それがめっちゃ辛かったんですよねぇ。テレビでは絶対伝わってないと思うんですけど、一番辛かったです。こっそり温度を上げておくんですけど、すぐにまた18度になってて……。

土屋 (爆笑)あのー皆さん、『電波少年』をご覧になってた頃は、矢部のこと好きじゃなかったでしょ? まさかそんな自分が、20年後に矢部の本を好きになっちゃうなんて、そんな自分を想像できました? 

矢部 あ……、頷いている方もいらっしゃいますね……。

土屋 だから、人生何が起こるかわからない、と。

矢部 まさか僕も漫画を描くなんて思ってなかったです。でも糸井重里さんと対談したときに、『電波少年』のときも、アフリカの部族の方の似顔絵を描いたりして、絵でコミュニケーションを取ってたよね、と言われて。

土屋 糸井さん、変なところ覚えてるんだなぁ……。あ、そういえば汐留で似顔絵を描いて、そのお金を全部ギャンブルに突っ込んでたな! ね? とんでもない男なんですよ、こいつ!

矢部 土屋さんがやらせたんじゃないですか! 相当描かせてもらって、一枚千円で五十万円くらい集まったから……。でもなんでそんなにお金が必要だったかっていうと、土屋さんから借金して、取り立てに遭ってたんですよ。

土屋 そうだ、借金したんですよ、こいつ! 透明の袋に鎖付けて、一千万円を入れて持ち歩くっていうだけの企画だったのに、それを途中で使いやがったんですよ、百万円くらい! しかもそうだ、因縁だなぁ、ここ(紀伊國屋書店新宿本店)の前のグッチじゃない?

矢部 あー、そうですね。一千万円持ってたら、グッチの人が挨拶してきたんです。それで「あー、どうも」ってお店に入って行って。グッチだと百万円くらいすぐ使えちゃうんですよ(笑)。しかも飲み物も出てきましたよ!

土屋 知らねぇよ! それで百万返せよと言ったら、「ないです」って。

矢部 だから「グッチで買った服あげます」って言ったじゃないですか!

土屋 お前のサイズなんか着られるわけないだろ! それで得意な絵で稼いで、カジノで賭けたんですよ。そしたら……案の定負けたんですよ、スッテンテン。

矢部 そのとき、土屋さんは僕の逆に賭けてたんですよね?

土屋 そう。こういうときに賭ける人間は邪だから、絶対その逆を張れば勝てるだろうと。だから僕は同じ額賭けて、倍になって返ってきました。

矢部 借金は無事返済されたんですね。

土屋 返済されてないだろ! それはオレの金だ! お前まだ返してないよ!

矢部 いえいえ、そのときにキレイに返済しております……。ああ、土屋さんと話すと絶対こうなるってわかってたからイヤだったんですよ……(笑)。


サインする矢部さんを嬉しそうに激写する土屋さん

新潮社
「大家さんと僕」と僕(番外編) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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