「令和上司」の働き方とは? 部下に教えるとき意識するべき2つのポイント

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令和上司のすすめ-部下の力を引き出すは最高の仕事-

『令和上司のすすめ-部下の力を引き出すは最高の仕事-』

著者
飯田 剛弘 [著]
出版社
日刊工業新聞社
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784526080869
発売日
2020/09/23
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

「令和上司」の働き方とは? 部下に教えるとき意識するべき2つのポイント

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

令和上司のすすめ 「部下の力を引き出す」は最高の仕事』(飯田剛弘 著、日刊工業新聞社)の著者によれば、「令和上司」とはグローバルで活躍する行動特性を持ち、令和の時代に求められるべき実力を備えた上司のこと。

つまりはリーダーとしてチームや部下の成長を促し、結果を出せる能力の持ち主だということです。

相手の力を引き出すのがうまく、チャレンジさせたり、アドバイスやフィードバックを与えたり、コーチングしたりして、部下に大きな変化をもたらす存在。

また共感力を持ち、広範な情報やノウハウを吸い上げ、現場や相手のことを理解することができるのも令和上司。

自分ひとりによる偏った経験や知識だけではなく、複数の人の最新の知識や経験を吸収できるということなのでしょう。

多様な価値観や考え方、意見を取り入れているからこそ、あらゆる状況に柔軟に対応できるというわけです。

そんな令和上司の働き方を身につけることができれば、部下を成長させ、チームとして結果を出せるようになるはず。

そればかりか、部下の力を引き出す経験を通じ、自分自身もさらに成長できるようになるのだと著者は強調しています。

本書では、上司として知っておくべきことをまとめています。

現在、管理職の方だけではなく、これから部下や後輩を持つ立場の人にも参考になります。

本書で紹介している内容は、人と人とのつながりを大切にした、実直なまでに地道な仕事の考え方や行動です。(「はじめに」より)

広い視野に基づいて実践的な情報を網羅した本書のなかから、きょうは第3章「教えるべきことを整理する【教える力】」に焦点を当ててみたいと思います。

なんのためにやるのかを教えるとムダが減る

令和上司は、最初からあれもこれもと詳しく教えたりしないのだそうです。まず目標を設定し、「そこにたどり着くためには、なにをやり遂げる必要があるのか」をシンプルに説明するから。

その際には、仕事の完成形や流れを見せ、全体像を共有。業務の目的を明確にし、部下に「なぜこの業務のアプトプットが必要なのか?」「どう使われるのか?」を理解してもらうことに重きを置くのだといいます。

目標達成のために「なにが、なぜ必要か」をはっきりさせれば、そこに至るまでの最短ルートがわかります。

「なにが求められているのか」「なにをすべきか」が明確になるため、“必要なこと”と“必要でないこと”も明確になるというわけです。

なお、そこがはっきりすると、大事だと思って伝えようとしていた内容のなかに、いま目の前にある業務に直接必要ないものも含まれていることに気づくケースもあるのだとか。

上司はつい自分の経験から「これも大事」「あれも役立つ」と思い、つい“とりあえず”教えておこうと判断しがちですが、客観的に考えればそれが余計な情報であることもありうると気づくのです。

そこで、おすすめなのは「今後、大事になる」とか、「役に立つ」という漠然としたものを具体的にすることです。

「今後」とは、①いつのことで、②どのような状況で起きるのか、③それは本当に起きるのかを整理するだけでもいいと思います。

以前は起きたけど、今後は起きない。あるいは発生しにくくなることもあり得ます。 それらを踏まえて、部下に学んでもらう優先順位を判断しましょう。

今、部下はそれを学んだ方がいいのかどうかを決めましょう。 (69ページより)

そうすれば、“必要なこと”“必要でないこと”がわかってくるということ。

「いままでやっていたから、とりあえずやる」とか、「やらないと、他がうるさいからやる」などというような意味のない理由に振り回されることが減るのです。

また、思考法や基礎知識など汎用的なことについても、「直接業務に関わらないように見えるけど、○○のときに必要だよ」ときちんと説明できるため、本当に必要なものだけを絞って教えることが可能になるといいます。(68ページより)

「目指すところ」を共有するから同じ方向が見える

もし「チームとして一体感がない」「みんな、同じ方向を向いていない」「ツーカーで仕事したいのにできていない」などと感じているとしたら、チームがバラバラな方向に向かっている危険性が。

それどころか、成果が出しにくい状況になっているだけではなく、チームが崩壊する、あるいはメンバーが辞める方向に向かっていると考えることもできるでしょう。

目標が共有されておらず、ゴールなど目指すところが曖昧だと、各自が都合のいいように解釈して進んでしまうもの。

それぞれが勝手なことをやり始めてしまうため、本来目指すべきところが見えにくくなり、一丸となって進められなくなるのです。

これは上司や部下との問題だけではなく、組織として成し遂げたいこと、部署や課などチームとしてやり遂げたいこと、上司がやってほしいこと、部下がやろうとしていることなど、それぞれにギャップがあることにほかなりません。

そのため、みんなが「共通の目的意識」をもって目指すべきところに全力で向かえるよう、チームの視座を広げようとすることが大切。

事業の目的や目標はなんなのかを明確にするべきだということです。

そして、その目標に対して、「チーム、個人それぞれが担うべき役割はなにか?」「いつまでになにをすべきか?」のプロセスを考えるべきだといいます。

その目標にきちんと向かっているか達成度を見るために、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。またチームや部下と話し合い、組織やチーム、個人の目標の整合性もとります。(71ページより)

たとえば会社が2021年度の売上目標を「前年とくらべ、20%増やす」と掲げたとしたら、「2022年3月末までに、新規契約を100件取る」「100件の新規契約を取るために、500件の商談をつくる」「500件の商談をつくるために、5000件の電話がけをする」などのKPIを設定するわけです。

会社や事業の目標を達成するために、自社あるいは自分のチームに必要で最適なKPIを設定し、みんながブレることなくゴールへ向かっていけるようにすること。

また企業によっては、目標の設定・管理方法としてKPIではなくOKR(Objective and Key Result:目標と主要な結果)を使うところもあるはず。

OKRは100%の達成を目指すのではなく、とにかく高い目標を設定するのが狙い。そのため、60〜70%の達成率でいいとされているそう。

会社として達成すべき目標が掲げられ、その下にチーム・部署単位、個人単位の目標と成果がぶら下がります。

目標を決め、その達成のために必要な成果に分解して、進捗を確認します。

大事なポイントは、会社の目標と個人の目標がリンクしていることです。(73ページより)

たとえば、会社として「過去最高の売上と利益率を達成する」という目標を立てたとしたら、「年間売上100億円を超える」「新規分野で売上10億円を上げる」「売上高総利益率を55%から60%以上に上げる」などの成果を設定。

次いで達成のために、チームや部署の目標や成果、個人の目標と成果が設定され、結果としてみんなが同じ方向を向いて進んでいくことができるわけです。(70ページより)

必ずしも最初から読む必要はなく、興味のある箇所から読めるような構成になっているのも本書の魅力。

ちょっとした時間を利用して、気になるところだけを拾い読みしてもいいわけで、利用価値は高そうです。

Source: 日刊工業新聞社

Photo: 印南敦史

メディアジーン lifehacker
2020年10月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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