『日本でもできる! 英国の間取り』
書籍情報:openBD
山田佳世子 イラスト・文 「日本でもできる!英国の間取り」
[レビュアー] 加藤聖文(歴史学者・国文学研究資料館准教授)
イギリス人は一生のうち、5~6回家を買い替えるそうだ。その時々の家族の姿に合わせて家を替え、新築よりも歴史のある家を好み、その土地の部材を使ったリノベーションに精を出す生き方は、新築信仰が根強い日本人と対照的だ。
イギリスも国土は狭いし、ロンドンで家を買うのは東京以上に大変。しかも、貴族と違って普通の市民の家は日本並みに小さい。それでも日本の家より広くて良さげに見えるのは、間取りの工夫、そして何よりも住む人の愛着の差。
本書からは、イギリス人の家に対する愛着が、カラフルなイラスト=図版=を通じて伝わってくる。
文明開化の象徴だった鹿鳴館も、東京五輪の国立競技場も60年経(た)たずに取り壊された。住宅の寿命はもっと短い。豊かな文化は歴史が積み重なった家から生まれる。皆さんもそろそろ家にこだわってみたらいかが。(エクスナレッジ、1600円)