アイドルグループの男性メンバーを追い、彼を解釈することに幸福を感じる女子高校生・あかり。〈彼だけがあたしを動かし、あたしに呼び掛け、あたしを許してくれる〉。あかりの人生の“背骨”だったそんな「推し」がある日、炎上する。「ファンを殴ったらしい」という話がSNSを駆けめぐり、非難渦巻く中、あかりの学校生活や家族にも変化が生じて…。
三島由紀夫賞を最年少の21歳で射止めた新人のデビュー第2作。一方的に誰かを「推す」ことの陶酔と悲しみ、周囲から理解されない孤独の行く末を、ポップな文章で巧みにつづる。(河出書房新社・1400円+税)
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2020年11月15日 掲載
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