「王道へのコンプレックスが…」 ふかわりょう×カズレーザー、芸人らしくない二人が見つけた“戦い方”

対談・鼎談

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世の中と足並みがそろわない

『世の中と足並みがそろわない』

著者
ふかわ りょう [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784103537915
発売日
2020/11/17
価格
1,485円(税込)

書籍情報:openBD

ふかわりょう×カズレーザー・対談「足並みがそろわなくたって、いいんじゃない」

[文] 新潮社


カズレーザーさん

曖昧さがコンプレックス

ふかわ いずれにしても僕は「ポスト出川」にはなれなかったと思っているのですが、舵を切ったことで、芸人の仕事以外に、情報番組のMCやコメンテーター、DJといった音楽活動、今回のエッセイ集のように文章を書くことなど、色々とやらせて頂いています。でも同時に、立ち位置がぼやけて、活動がとっちらかってしまっているとも言えて、それがコンプレックスでもあるんです。だから“カズレーザーランド” をしっかりと築けているカズさんが羨ましい。僕のは「とっちらかりランド」。

カズ なんですか、その命名(笑)。僕はコメンテーターとクイズの分野にどんっとまとめて土地を買っているからなんとなく地主っぽく見えるだけで、トータルの面積で考えると確実にふかわさんの方が広いですよ。実際のお金持ちも一箇所にまとめてというより、国内あちこちに土地を買うものらしいですし。

ふかわ 飛び地は嫌なのよ、ちゃんとまとめたいのよ(笑)。

カズ 飛び地で持っていた方が税金も安いって聞きますよ。
 でも、曖昧な存在であることがコンプレックスという気持ちは、僕も同じです。僕は「メイプル超合金」というコンビを組んでいますが、コンビネタや漫才でブレイクしたわけではありません。僕の場合、お笑いの世界独特のルール、例えば先輩後輩の上下関係って厳しすぎじゃない? みたいなスタンスや、若手なのにバラエティで全然緊張しないですが何か? といった、カウンターパートとしてのお笑いで世間に受け入れられた面が大きいんです。だからお笑いの王道である「ネタ」で勝負している芸人さんに、単純に憧れています。

ふかわ カズさんもそうなんだ。芸人としてデビューしている限り、王道で活躍している人へのコンプレックスは消えなくて当然ですよね。10年以上前に僕がコメンテーターを始めた時には、世間もだけど、芸人さんからも「お笑いを捨てたのか!」って白い目で見られました。

カズ 当時はコメンテーターをする芸人なんていなかったですもんね。ふかわさんが先駆者として切り拓いて下さったから、僕なんかは楽なもんでした。

ふかわ 「ネタ」の話で言えば、僕の場合、「芸人たるや、ネタを続けてなんぼ」という風潮に対して、色々な価値観を提示したいという意味でも、どこかで抗いたいと思う自分がいました。だから周りからどう見られても良かったのですが、それでも、あまりに多くの人から批判されたので、「お笑いを捨てた」という意識が肌感覚として今も残っているくらいです。

カズ 僕はふかわさんがいじられまくっていた『内村プロデュース』が大好きで、今もDVDをよく見るくらいなのですが、自分が芸人という同じ立場になったとき、当時のあの座組――MCの内村光良さんを筆頭に、さまぁ~ずさん、出川哲朗さん、有吉弘行さんといった錚々たるメンバーのなかで、いじられ役に徹して笑いをとるふかわさんの立ち位置は、僕には到底マネできないと痛感しました。そんな強烈な「芸人」をやっていたから、なおさら「え、コメンテーター!?」と思われたのかもしれませんね。

ふかわ カズさんのクイズで言えば、ひと昔前は、「クイズで間違えるのが芸人さんの役割」だったわけだから、『内P』のレギュラー放送から15年以上経った今、芸人の仕事の幅はかなり広がったんだなぁ。

新潮社 波
2020年12月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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