京都手帖2021 光村推古書院編集部編 光村推古書院

レビュー

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京都手帖2021

『京都手帖2021』

著者
光村推古書院編集部 [編集]
出版社
光村推古書院
ジャンル
芸術・生活
ISBN
9784838106066
発売日
2020/09/30
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

京都手帖2021 光村推古書院編集部編 光村推古書院

[レビュアー] 通崎睦美(木琴奏者)

 この季節になると決まって何週にもわたり、京都の書店ベストセラー第1位に輝く本がある。それが、この『京都手帖(てちょう)』だ。発売15周年、「いつも京都がそばにある。」と帯をつけ、書店に積まれる。

 手帖機能の他、市内の地図、市バス・鉄道路線図、社寺、文化施設のデータ等(など)が掲載されるが、いずれも見やすく実用的だ。

 本書の手帖の各日欄には、その日に京都で行われる行事が網羅されている。例えば、来年11月第3週日曜はこんな風だ。御影供(みえく)/仁和寺、摂末社秋祭/上賀茂神社、開山忌/酬恩庵一休寺、写経のつどい/智積院、倶生霊神祭(ぐしょうれいじんさい)/瑞光寺、弘法市/東寺、親鸞聖人御正忌報恩講(ごしょうきほうおんこう)/東本願寺。年中通してみても、なにもない日は珍しい。また各頁(ページ)、その週の代表的な行事が欄外に説明付きで記される。縁切り神社の別名で知られる安井金比羅宮、各時代の髪形に地毛を結い衣装をつけた女性が練り歩く櫛祭(くしまつり)など、あまり有名ではないが興味深い祭りを見つけることもできるだろう。

 各見開きにある、英語での京都案内の例文もふるっている。6月、北野天満宮、御誕辰祭(ごたんしんさい)・大茅(おおち)の輪(わ)くぐりのある週は、「茅の輪を抜いてはいけません。穢(けが)れを持ち帰ることになりますよ」。日本語で読んでも「なるほど!」と発見があるのではないか。ところどころに挿入されるお薦めの店や、お取り寄せ品情報も、地元の出版社ならでは、気の利いたセレクトだ。

 今の時代、日や場所を限定すれば、インターネットで詳細を調べることができるが、全体を俯瞰(ふかん)した情報は意外と少ない。日本全国、多くの都道府県で、それぞれの自治体あるいは外郭団体である統計協会が発行する地元愛に溢(あふ)れた「県民手帳」が存在する。中には、隠れたベストセラーになっているものもあると聞く。本書は「ご当地手帳」の代表格ではないかと思うのだが、京都に暮らす者の身(み)贔屓(びいき)だろうか。

読売新聞
2020年11月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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