“国産=安心安全” 信じる阿呆につける薬

レビュー

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本当は危ない国産食品

『本当は危ない国産食品』

著者
奥野 修司 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
自然科学/医学・歯学・薬学
ISBN
9784106108860
発売日
2020/12/17
価格
814円(税込)

書籍情報:openBD

“国産=安心安全” 信じる阿呆につける薬

[レビュアー] 林操(コラムニスト)

「国産」の二文字は、安手の安全安心を高値で売るための呪文。字面を見れば中国産、米国産だって国産だし、原発を見れば英米露国産が事故り、日本国産だって爆発した。なにより、国産の役人・政治屋の抜けっぷりを見れば、国産信仰のインチキは明らかでしょ。

 常々そう思ってるところに出た『本当は危ない国産食品』だもの、ワタシゃあらためて飛びつきました。あ、あらためてと言ったのは、この新書のベースになってる「週刊新潮」の「『食』と『病』実は『農薬大国』ニッポン」シリーズの熱心な読者だったから。あの連載、全国の銀行や信金も追いかけてて、“危ない農薬を使わない農産品ビジネス”への融資がJAのお株を奪う好手になると踏んでのことだった。

 大きく取り上げられてるネオニコチノイドやグリホサートってのは、いま広く使われてる農薬の主成分。危険性を警告する叫びはだいぶ前から国内外で出てるけれど、企業や役所は大丈夫ダイジョブを繰り返し、海外で規制が強化されてもニッポンじゃ逆に基準値が緩和されたりもしてる……って話が既視感まみれなのは、この国じゃ農薬も原発によく似てるから。

 ノンフィクション古参の奥野修司がこのテーマに踏み込んでくれたこと、大いにありがたく、思い出されるのは有吉佐和子の『複合汚染』から真山仁の『黙示』に至るフィクションの手練れの仕事。“ニッポン凄い”のコクサン真理教の崩壊は近いと信じたい。

新潮社 週刊新潮
2021年1月21日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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