テレワーク時代の「心のケア」マネジメント 和田隆著

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テレワーク時代の「心のケア」マネジメント 和田隆著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 ページをめくり、「テレワークはモチベーションの維持が困難」という見出しが目に飛び込んできたとき、何だかほっとした。コロナウイルス感染防止対策としてテレワークが大々的に推進されている状況下で、誰かがこのシンプルな「いいことばかりではない」という意見を発してくれるのを願いつつ、慣れない勤務形態に耐えている方々が、実は大勢いるのではないかと思えてならないからだ。

 本書は、コロナ禍で急遽(きゅうきょ)導入されたテレワークが抱える潜在的な危険性について、働く人びとのメンタルケアの専門家である著者が、データを紹介しつつ具体的に解説している。大きな特徴は、表紙にも明記されているとおり、労務管理者に向けた「分析と対策」になっていることだ。今回のような事態を予測して、テレワーク・システム下での管理職研修をしていた企業が多いとは思えないし、行き詰まった管理職が気軽に相談できる窓口が豊富にあるとも思えない。本書はそんなSOSに応えてくれる。まず、こういう助言を必要としているのは自分一人ではないと知るだけでも有益だろう。(方丈社、1500円)

読売新聞
2021年1月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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