『安倍・菅政権VS.検察庁 暗闘のクロニクル』村山治著
[レビュアー] 産経新聞社
「官邸の守護神」とも呼ばれた黒川弘務・元東京高検検事長の定年延長、その後の賭け麻雀発覚による辞任は社会を騒がせた。だが、その裏にあった政界も絡む人事闘争については深く知られていない。検察に精通するベテラン司法記者がその全貌に迫った。
本書では、黒川氏と司法修習同期でライバルだった林真琴検事総長の若手時代から詳しく描写。総長候補だった2人の歩みと政治との関係を丹念にたどり、昨年の騒動の背景を解き明かす。インターネットで散見される「黒川氏=悪」という偏見に基づいた記事では分からない権力争いの一端が垣間見える。(文芸春秋・1600円+税)