【気になる!】新書『空想居酒屋』
[レビュアー] 産経新聞社
小説家で〈酒場をハシゴして40年、包丁を握って35年〉の著者が、世界中で訪れた魅惑の酒場と絶品料理を振り返る食エッセー。
ただ振り返るだけではない。数々の酒場体験を「コトバを尽くして再現」し、「読者に大量の唾液を分泌させ」たうえで、理想の酒場「空想居酒屋」の進化系として、著者が店主となるリアル呑(の)みの「何処でも居酒屋」開店までを描く。
同店の切り干し大根入り台湾オムレツや、かき揚げと卵天のバラ天丼など、写真、レシピ付きの料理がまたそそる。コロナ禍で苦境にある全国の居酒屋店主へのオマージュとも。(島田雅彦著、NHK出版新書・950円+税)